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服飾造形

AJCクリエイターズコンテストで奨励賞を受賞した服飾造形学科 助手の海老名理紗子さんにインタビュー!

AJCクリエイターズコンテスト2023」で、入選と奨励賞を受賞した服飾造形学科 助手の海老名理紗子さんにお話を伺いました。

【写真】胸元に、奨励賞受賞作品「宝のかたち、花と壁蝨」の一部、ブローチを着けて撮影

フレームアート部門 奨励賞受賞作品「宝のかたち、花と壁蝨(ダニ)」
害虫をアクセサリーにしてみたいという好奇心から、タカラダニという赤い虫が花粉を食べに花に群がる様子を編みと刺繍で表現し、昆虫標本のように額装。飾っても身につけても楽しい作品。

――なぜ、このタイトルにしたか、作品タイトルに込めた想いを聞かせてください
嫌われている虫をコスチュームジュエリーとして昇華して、良い面を見出そうという思いを込めてつけました。

――この作品を制作しようと思った理由や、きっかけを聞かせてください
別のコンテストとの兼ね合いで、害虫をテーマに作品制作をすることになったのですが、まず長時間、作品と向き合うので、よく目にしたことがあって、自分の中で嫌悪感が比較的無い虫を選びました。晴れた日のコンクリートによくいるあの赤い虫がダニだとは思わず、調べていくうちに、なぜかメスしか見つからないこと、どうやら花粉を食べているということなど、生態に謎が多く、キャラクター的な要素が満載だなと興味が湧き、「ダニ×花」というモチーフを思いつきました。そして、そのモチーフでパリュール(共通デザインのアクセサリーセット)を制作して昆虫標本のように飾ったら虫らしさも残っていいのではないかと考え、制作に至りました。

【写真】各々のパーツがアクセサリーになっており、ビーズと刺繍で赤いダニがリアルに表現されています

――制作時間と、制作中に苦労した点や工夫した点を教えてください
制作期間は額装を含めて3カ月半くらいです。花のモチーフを、大小たくさん、かぎ針編みで編んだのが一番苦労した作業でした。まず、花びらの枚数を21枚にしました。作品のようなマーガレット系統の花びらは13枚や21枚であることが多いそうです。今回のメインモチーフであるダニは、しずく型のビーズにラメ糸で刺しゅうをして脚を表現したので、比較的デフォルメしているぶん、花はリアリティのある枚数にするように試行錯誤しました。かぎ針編みの花は桜のような5枚の花びらでない限り、偶数の枚数がよく用いられているので、どうしたらバランスよく花びらを配置できるか非常に悩みました。また、普通のかぎ針編みだけでは編地の特性上、花びらが丸まっていってしまうので、花の形に編んでから引き抜き編みのチェーンステッチを花びらの上から編みこんで、なるべく強度を上げて丸まらないようにしました。それでも弱いので、モチーフ完成後に造花用の硬化スプレーを塗布して仕上げています。

ニッティングアート部門 入選作品「レディ・マリキータ」
幸運を運ぶとされている「てんとう虫」が集団越冬する様子から着想し、浮世絵の寄せ絵のようなユーモラスな帽子を制作。「今が不遇でも耐え忍べば必ず春(=幸せ・平和)がやってくる」という意味が込められています。

――なぜ、このタイトルにしたか、作品タイトルに込めた想いを聞かせてください
てんとう虫の英名のlady bug/lady birdと帽子のデザイン元である淑女(レディ)の被るトーク帽をかけて「レディ」、それにてんとう虫のスペイン語読みのmariquita(マリキータ)を合わせて人名風にしました。

――この作品を制作しようと思った理由や、きっかけを聞かせてください
「宝のかたち~」の作品が虫だったので、別の虫でも編んでみようと思い、デフォルメしてもパッとわかるてんとう虫にしました。初めはもっとジオラマ標本のような感じで箱の中にてんとう虫をたくさん入れようかと構想していたのですが、それだと「宝の~」と部門別で出す意味がないなと考え、トーク帽風の帽子作品にしました。
 

――制作時間と、制作中に苦労した点や工夫した点を教えてください
制作期間は2カ月半くらい。てんとう虫の制作と配置に一番、時間をかけました。てんとう虫は黒と白の糸で編み分け、赤や黄色、斑点や顔部分の模様はすべて布用の絵具で彩色しました。柄のデザインは柄のバリエーションが多いナミテントウとキイロテントウを参考にしました。色落ちを防ぐため、モチーフ一つひとつにアイロンで熱処理をしたのですが、モチーフがドーム型で普通のアイロンがけでは編地にほとんど当たらないので、アイロンの熱くなる面が上向きになるように本体を固定して当て布をかぶせ、指を入れてモチーフを動かし、熱した面がまんべんなく当たるようにしました。「アイロンがこちらに倒れてきたら……」「熱しすぎて指まで到達したら……」などと、最悪の事態を想像して冷や汗をかきながら作業しました。また帽子を遠くから見ると1体のてんとう虫に見えるように、キイロテントウで顔部分を、ナミテントウで体と斑点に見えるように配置。1匹のモチーフは身体と顔で構成されていて、単なる丸の形ではない為、頭を隙間にどうはめ込むか、はめ込んだことで柄がゆがんだりしないかなど、とても気を使いました。

【写真】一つひとつ編まれた小さなてんとう虫が集まり、1体のてんとう虫に。リボンの先にも、てんとう虫があしらわれています

――これまで、数々の賞を受賞されていますが、今回の受賞のご感想をお聞かせください
AJCクリエイターズコンテストは、今まで学生が授業内で応募しているのを見守るだけだったので、今回は自分でも作品を出してたくさんの人に観てもらえたことが純粋に嬉しいですし、「宝のかたち、花と壁蝨(ダニ)」は出展数が多い中でも奨励賞という評価をいただけたので、非常に励みになりました。経験と反省を活かして、今後の創作活動に繋げていければと思います。

――独創的でユニークな作品を数多く制作されていますが、着想を得るために普段していることはありますか? 
本やアート(絵画・彫刻・ミュージックビデオ)、SNS、街中のデザインなどで見かけて、気になったものは自分が納得できる範囲まで調べるようにしています。それとは別に、市場で売られていたり、街中で身につけられているニットアイテムもよく観察するようにしています。大体は機械で編まれているのですが、「これは手編みでもできるかもしれない……」「ここから編み始めて……○○編みを使って……」と編み方を想像するのは頭を使いますが面白いです。また、かぎ針編みはいまだ機械化できていない技術ですので、かぎ針編みの製品を見る時は特に目を皿のようにして見ています。「これを編んだ人がこの世界にいるんだなぁ」と感心して見知らぬ編み手に思いを馳せてしまいますね。

――AJCクリエイターズコンテストに応募を検討している方へ、アドバイスやメッセージをお願いします
自分のことを知らない第三者から評価を受けることは、大きな自信に繋がります。25歳以下でしたら審査料が無料ですので、学生や卒業生の方には、ぜひチャレンジしていただきたいです。また、応募せずとも観覧していただくだけでも創作意欲が掻き立てられると思いますので、興味のある方はぜひ、AJCクリエイターズコンテスト公式HPをチェックしてください!

受賞した学生作品は以下からご覧いただけます。
「AJCクリエイターズコンテスト2023」学生受賞作品
「AJCクリエイターズコンテスト2022」学生受賞作品

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