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国際学科 秦泉寺友紀教授の共訳書『イタリア料理の誕生』が刊行されました

国際学科の秦泉寺友紀教授の共訳書『イタリア料理の誕生(キャロル・ヘルストスキー 著、小田原琳・秦泉寺友紀・山手昌樹 訳)』(人文書院、2022年8月)が刊行されました。イタリアやイタリア料理が好きな方に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。



本の内容や読みどころについて、秦泉寺友紀教授に解説してもらいました。

<秦泉寺友紀教授からのコメント>
パスタやピッツァなどで世界的に人気のイタリア料理ですが、そうした料理がイタリア全国で食べられるようになったのは、実はそれほど古い話ではありません。本書の著者ヘルストスキーは、イタリア半島がひとつの国に統一された19世紀半ば――人口の大半が空腹を抱えていました――にさかのぼって、2000年代はじめまでのイタリアの食をたどり、今日のような「イタリア料理」がどのようにできあがったのかを描き出しています。

食の歴史や文化など、食に関わる人文社会科学の研究は、もともとこの分野での研究をリードしてきた人類学以外にも広がり、近年ますます盛んになっています。食べ物はあまりにも日常的なものであるためにかえって、改めて記録として残されることは必ずしも多くありません。しかしその一方、人は食べなければ生きることはできず、食は人々の営みをその根底から支えています。

本書の大きな特徴は、政治の役割や国の介入に焦点を当てて、イタリアの食を描き出したことにあります。豊かなはずの近年の日本でも、コロナ禍による失業や収入減で明日食べるものがないといった深刻な食糧危機が多くの人を襲いました。食べ物をいかに人々に行き渡らせるか、飢えさせないかは、すぐれて政治的な問題でもあるのです。

私は1945年以降を扱った第五章と結論の翻訳、「解説」を担当しました。「解説」では本書の原著刊行後の2000年代半ば以降のイタリアの食についても触れています。
翻訳や解説に取り組んでいる途中で、TITL(技能実習生生活支援機構)と国際学科の共同プロジェクトで多文化共生農園に関わったことは、食を介して広がるつながりや社会関係資本について考えるうえで大きな刺激になりました。

折しもロシアによるウクライナ侵略で世界的な食糧危機が懸念されています。イタリアやその食に関心のある方はもちろん、食という切り口から社会を読み解くことに興味のある方にとって、2つの世界大戦がイタリアに与えた影響について食という角度から光を当てた本書は、読みごたえのある一冊になるはずです。

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