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日本文学文化学科

10 06

投稿者: nihonbungaku
2020/10/06 16:06

新型コロナウイルス感染症による非常事態と例外状態で幕が開けた2020年度前期、授業形式も学事暦も変更を余儀なくされるなかで、授業の実施は暗中模索と格闘の連続でした。そのようななかで、効果のあった特徴的な試みや、今後の授業運営にも参考になりそうな実践例を、日本文学文化学科 文化芸術専攻の科目からいくつかご紹介します。

「現代文化論/表象文化論(旧カリキュラム名)

担当教員:仁藤潤准教授
この科目の遠隔授業では、動画を活用したオンデマンド授業を行いました。私の専門分野である、映像の技術を活かした、「教員の顔の見える」動画制作を行いました。グリーンの布の前で撮影を行い、Adobe Aftereffectsにてクロマキー合成を行いました。クロマキー合成とは、ある特定の色を検出しその範囲を透過する技術のことです。一部透過することでそこに別の背景やほかの映像を差し込むことができます。

 

感染症の蔓延するなか、遠隔授業に対して不安を感じる学生も多いことから授業の内容に関連したちょっとした雑談をしたり、普段の授業に近い雰囲気を心がけました。授業内で実施したアンケートでも、教員の顔の見える動画による授業を続けてほしいという意見も複数あり、今後もできる範囲で継続したいと考えています。

「現代思想演習」

担当教員:小澤京子准教授
この演習では、各々で実作したカメラ・オブスクラを利用し映像作品を制作したり、ベラスケスの《ラス・メニーナス》を「活人画」で再現したりと、実際に手や身体を動かし、自ら作りながら、視覚的なイメージについて考えることを行なってきました。しかし、今年度はすべての演習回をオンラインで行うこととなったため、学内の学習管理システム「manaba course」の機能を活用し、教員が配信した教材と指示をもとに、受講生は各自自宅で作品を制作し、オンライン掲示板上で発表、お互いにコメントを付けあってディスカッションを行う、というやり方にしました。
本演習の定番となっていた《ラス・メニーナス》活人画は、まさに密閉・密集・密接の三つを満たしてしまうため実現できるはずもないので、今回は「自分なりに名画を再現してみよう」をテーマとし、各々が制作した写真や動画を掲示板に投稿してもらうことにしました。


【写真】担当教員による「セルフ活人画」の例。ドイツの美術史家ヴァールブルク(1866-1929年)が着目した絵画内の身振りの類型、「裳裾を翻し、片足を上げて軽やかに歩む女性像=ニンファ」を動画と写真で再現しました。

受講生からは、公園の並木道の木漏れ日に、ルノワール絵画の光の表現との共通性を見出した写真、充電台にセットしたアイロンの傾きを大天使ガブリエルのポーズに、自室の青いカーテンを聖母マリアのマントに見立てた、ボッティチェッリの《受胎告知》の活人画、メイク術を駆使し《モナ・リザ》になりきった写真、自宅の台所で身近なキッチンツールを活用し、フェルメール《牛乳を注ぐ女》を実演したもの、机上の小物で《ラス・メニーナス》の構図と配置を再現する試みなど、着想に富んだ作品が次々と寄せられました。オンライン掲示板を用いたことで、じっくり考えて言葉にすること、また対面時の緊張感から解放されてコミュニケートすることが可能となり、学生同士のディスカッションも、例年以上に活発なものとなりました。この種の効果的な授業実践は、感染症収束後も続けていこうと考えています。

「古代学Ⅰ/考古学A(旧カリキュラム名)」・「博物館資料論」

担当教員:小野真嗣助教
新型コロナウイルス蔓延により、突如開始された遠隔授業でしたが、右往左往しながらも以下の点に注意しながら授業を実施しました。一つめは、授業内容を詰め込みすぎないこと。二つめに、課題は授業を復習できるもの、あるいは授業内容をふまえて自身の考えを述べさせるものとし、図書館や博物館へ出向く必要のないようにすること。三つめとして、授業配信から課題提出までに適切な期間を設けること。期間が短すぎれば、慣れない授業方式や通信環境もあり学生は混乱を来たしますし、期間を長く取りすぎても、多くの課題をため込み、すべて提出できなくなってしまうおそれがあるからです。
「古代学Ⅰ/考古学A」では、パワーポイントに音声解説を付けたものを動画化し、それをYouTubeで視聴してもらいました。授業では主に先史時代を扱うため、考古学の遺跡・遺構・遺物などの資料を用いますが、今年度は受講生各自が遠隔で授業を受けるので、パワーポイントの利点であるカラー図版(色彩の違いや細かい模様や線描が分かりやすい)を普段の授業より多用することで、理解を深めてもらうことを狙いました。

 
【写真左】和洋学園校地埋蔵文化財調査室編『下総国府台』(和洋学園、2004年)より 【写真右】写真撮影:小野真嗣

学期末に実施した授業評価アンケートの自由記述欄には、「この授業は遠隔に向いていると思った。YouTubeでの音声・動画配信は、聞き逃しても巻き戻せる、途中でわからない言葉が出てきたら一時停止して調べられるなど利点が多く、一回一回の授業をしっかり学修できた」、「動画の長さも適切で、動画や資料を参考に課題を提出する形式なので、学習を進めやすかった。穴埋め形式の小テスト課題は、自身の理解度の確認に役立った」などのコメントが寄せられました。動画形式の授業が理解度を向上させてくれること、自分のタイミングで受講できること、視覚的な資料の多用が内容理解につながったことが、高評価を得ました。

同様に遠隔オンデマンド形式だった「博物館資料論」では、課題にインターネットの活用を取り入れました。実際に博物館見学に行く代わりに、博物館のウェブサイトや外出自粛期間に急増したヴァーチュアル展示を閲覧することとし、実際の博物館展示との相違や各々の長所と短所、オンライン展示をさらに発展させる方法などについて考えてもらいました。デジタルデータベースのオンライン公開や、ヴァーチュアルミュージアムの試みは、すでに20年ほど前から始まっていますが、新型感染症はそれらを一気に私たちにとって身近なものにしました。この授業では、フィジカルな「モノ」とデジタル技術とを架橋するための思考を養うことができたと思います。

「デッサン基礎/デッサンA(旧カリキュラム名)

担当教員:中谷晃講師
前半は遠隔形式、後半は面接形式で行いました。遠隔授業中は、教員の指定する単純な幾何形体のデッサンをおおよそ90分で描き上げることを課題としていました(課題の例「左側から光をうけ床に置いた白い円柱を『想像して』描いてください」)。その際に、教員によるお手本やデッサンのポイントをまとめた教材のPDFファイルをオンライン上で共有し、視覚と文字の双方でデッサンの方法を学ぶことができるようになっていました。また、講評会も学習管理システム「manaba course」上で実施され、受講生各自が写真を撮ってアップロードした作品について、教員が一人一人に対しコメントをつけていくものでした。

  
【写真】教材PDFの例。ほとんどの学生がデッサン初心者なので、「3次元のものをよく見て、2次元上に再現する」ためのコツを、本当の初歩から分かりやすく図版と文章で説明しています(授業資料のオンライン掲載に際しては、中谷先生からの承諾を得ています)。

この遠隔授業があったからこそ、面接授業開始後の作業テーマとなる「3次元のモノの見方の難しさ」をより強く体感できたように思います。
(報告:日文スタッフ 松崎夏実)

「ファインアート」

担当教員:中村威久水教授
この科目は、受講生たちの受講の便宜と教育効果の確保のため、非常事態宣言解除後の6月下旬以降に、全回を面接授業(大学に登校し、対面で行う形式)にて実施しました。学生の作業進度に注意し、柔軟にシラバスを変更しながら実施しました。例年、実施しているクロッキーは取りやめ、メインの静物の着彩デッサンに時間をかけました。また、入学以来顔を合わせる機会のなかった1年生たちが履修者の大半を占めたため、お互いを知るという目的も兼ねて講評会を実施し、「誰がどのような作品を描くのか」を共有する場をつくりました。
面接形式のため、感染症対策には念を入れました。抽選により受講生の人数を一定数以下に制限し、イーゼルなど共有の道具は授業ごとに消毒を実施、また受講生の作業する位置を厳密に指定し、ソーシャル・ディスタンシングの徹底に努めました。



人目のある環境で90分という時間に縛られながら、生身の教員とともに時間を過ごすことが、面接授業と遠隔授業(=時間に縛られない代わりに、自己を律してくれるような視線もない)との大きな違いだと思います。遠隔授業と面接授業、それぞれのつらさと有意義さを実感する、良い機会にもなっていたと思います。
(報告:日文スタッフ 松崎夏実)

Zoomを活用した双方向授業や学生間交流促進の試みについて

学生たちの通信・機器環境への配慮と、セキュリティ確保の観点から、2020年度前期のZoom使用は限定的にのみ認めるというのが和洋女子大学の方針でした。Zoom使用を認められた授業では、次のような試みを行いました。

最終回の総合ディスカッションはZoomで行う。その際、学生の通信環境に配慮し、Zoom参加できない学生は、学習管理システム掲示板への投稿をもって「参加」とみなす。
総合ディスカッション終了後、任意参加で「Zoom懇親会」を開催。前期の授業についてラフな感想を言ってもらうと同時に、学生間の親密な交流も促す。
教員がZoomから「退室」した後、ミーティング管理者権限を参加学生の一人に渡し、「休み時間の教室でのおしゃべり」の機会をオンラインで再現してみる。

学生間、および教員と学生たちとの間の(私的な性質の「おしゃべり」も含めた)交流の機会を確保し、大学・学科という集団への帰属意識や一体感を高め、学修へのモチベーションを維持することが、ほぼすべての授業が遠隔形式となり、教職員と学生とのコミュニケーションもオンライン限定となった今年度、前期の大きな課題でした。Zoomの機能をまずは色々と試してみることで、今後の活用方法についても少しずつ見通しが開けてきたように思います。

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