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日本文学文化学科 小堀洋平准教授の共著『文豪東京文学案内』が刊行されました

日本文学文化学科小堀洋平准教授の共著『文豪東京文学案内』(田村景子編著、小堀洋平・田部知季・吉野泰平著、笠間書院、2022年4月)が刊行されました。その読みどころを、小堀准教授に解説してもらいました。


前著『文豪たちの住宅事情』につづいて、近代日本の「文豪」たちの人生と作品を、今回は「東京」という切り口から読み解く本となっています。第1部「東京の成立」、第2部「東京の百年」、第3部「関東大震災の前後」、第4部「東京大空襲と戦後」の4部構成で、「東京」という都市の発展に沿って日本近代文学の歩みを辿れるように工夫されています。

私は、以下の9章と「あとがき」を担当しました。主に明治・大正期の小説家を扱った章となります。

・「公職と家庭を結ぶもの 森鷗外の東京」
・「生家と山房と火葬場と 夏目漱石の東京」
・「山から郊外へ、郊外から町へ 島崎藤村の東京」
・「友情と痴情の牛込と小石川 近松秋江の東京」
・「山の手の郊外から、大川の水を思う 芥川龍之介の東京」(以上第1部)
・「発展する「帝都」、その中を歩む人々 田山花袋の東京」
・「「平民的」な場所へ、「優越人種」を避けて 永井荷風の東京」
・「宿命的な「故郷」、その下宿屋とアパートで 正宗白鳥の東京」(以上第2部)
・「「木のある都」、そして「苦の世界」 宇野浩二の東京」(第3部)

ここ数年、岩波文庫版のロバート・キャンベル・十重田裕一・宗像和重編『東京百年物語』全3冊(2018)や日本近代文学館編『ビジュアル資料でたどる文豪たちの東京』(2020)といった、「東京」と近代文学の関係を主題化した書籍がさかんに刊行されてきましたが、本書は、首都東京からオリンピックの狂熱が既に去り、新型コロナウイルスの脅威が未だ去らない2022年という現在の時点から、改めてこの大都市と文学の関係について考えようとした書物といえるでしょう。

江戸川をはさんで都内を望む本学にいると、その地理的な周縁性から、必然的に「東京文学」について考える機会が多くなります。これは、都内の大学にいるよりも、かえって私が本書を執筆する際に有利だった点かもしれません。

なお、本書は野田宇太郎の「東京文学散歩」の系譜に連なる試みのひとつといえますが、ちょうど執筆中に学生たちと市川文学散歩のプロジェクトに取り組んだことは、私にとって大きな刺激となりました。

文学散歩に関心のある方、都市という切り口から文学を読み解くことに興味のある方にとって、豊富な地図と作品本文の引用がちりばめられた本書は、楽しみながら読める日本近代文学の入門書となっています。

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