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総合生活研究科博士後期課程の福島由子さんの研究成果が『Applied Sciences』に掲載されました
総合生活研究科博士後期課程の福島由子さん[指導:鈴木敏和教授]が高脂肪および高糖条件下で優れた発酵力を示す野生酵母に関する研究成果を取りまとめた論文 ”Performance of Wild Saccharomyces cerevisiae Strains in Enriched-Dough Kouglof” が国際応用科学雑誌『Applied Sciences』の2026年5月下半期号(16巻10号)に掲載されました。『Applied Sciences』(MDPI:Basel, Switzerland)は、産業・環境・食品・医療など幅広い分野における応用研究を扱う国際オープンアクセス学術誌です。Applied Microbiology セクションでは、微生物の利用や制御に関する最新の研究成果が掲載されており、Journal Citation Reports に基づく 2024年のImpact Factor は2.5 と、応用微生物学分野において評価の高い学術誌です。
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<論文情報>
【タイトル】Performance of Wild Saccharomyces cerevisiae Strains in Enriched-Dough Kouglof.
【著者】Fukushima, Y.; Komatsuzaki, N.; Saito, M.; Suzuki, T.
【掲載誌名】Appiled Sciences
【巻(号)論文番号】16(10), 4679
【概要】
本研究では、果物の葉から分離された2種類の野生酵母(Saccharomyces cerevisiae 9-3および10-2)について、砂糖や脂肪分を多く含む生地条件における発酵性能と製品品質を、市販の製パン用酵母と比較評価しました。その結果、野生酵母10-2は、市販酵母と同程度、あるいはそれ以上に安定した発酵を示し、やわらかく高品質な製品を形成することが明らかになりました。一方、9-3はやや硬めの食感を示し、野生酵母間には明確な特性の違いが認められました。人による試食評価では、いずれの酵母を用いた製品も高く評価され、酵母の違いによる大きな嗜好差は認められませんでした。これらの結果から、砂糖や油脂の多い生地でも活躍できる野生酵母が存在することが示されました。特に、やわらかく高品質な製品の形成が可能な野生酵母10-2は、今後の製パン・製菓分野への応用が期待されます。
<鈴木教授のコメント>
フランスでパティシエ修行の経験を持つ福島さんは、野生酵母を活用し、食が細く十分な栄養摂取が難しい高齢者のための、やわらかく高カロリーなパンの開発を目指して研究を進めています。一般に製パン用として最適化された酵母とは異なり、砂糖や脂肪分を多く含むパン生地において野生酵母が用いられてきた例は、これまで限られていました。今回の研究成果は、そうした制約を超え、野生酵母の新たな可能性を示すものです。今後さらに改良が進めば、自然派志向のユニバーサルデザインフードとして、高カロリーパンの実用化が期待されます。
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