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日本文学文化学科 小澤京子教授の共著『クリティカル・ワード ファッションスタディーズ』が刊行されました

日本文学文化学科小澤京子教授の共著『クリティカル・ワード ファッションスタディーズ』(蘆田裕史・藤嶋陽子・宮脇千絵編、フィルムアート社、2022年)が刊行されました。その読みどころを、小澤教授に解説してもらいました。



いまファッションを読み解き、語るために必要なキーワードを集め、それぞれの分野の専門家が解説した本です。私は「第1部 理論編」の「7. 身体」を執筆しました(本書の目次と概要は、出版社のこちらのウェブページに掲載されています)。

「身体とそれを取り巻くものとしての衣服、あるいはファッション」は、私が研究の途に入りこんだ当初にもっていた問題意識でした。それから20年あまり、自分なりに「現在、『身体とファッション』という問いを思考するときに補助線になるであろう概念や考え方のマッピング」を描きだすことに留意しました。

2000年前後、私が大学院を志し入学した頃には、哲学者の鷲田清一を筆頭に、1990年代から起きた「ファッション、身体、皮膚といったテーマを哲学的に思考する」アプローチの熱がまだ残っていて、『AERA Mook ファッション学のみかた。』(1996)や新書館ハンドブックシリーズ『ファッション学のすべて』(1998)といった、良質な概説書も書店に並んでいました。そのような思潮もあり、ファッションについて考えることを通して、知識が広がってゆく、思考が拓けてゆくという高揚感を味わえた時代でした。その知的な興奮を、2020年代の状況において、今度はより若い世代にもぜひ体験してほしいと思い、この「身体」の項目を書きました。

ファストファッションの隆盛とデザイナーの作家性の減退、ファッション誌の没落とInstagramを始めとするSNSインフルエンサーの台頭、「エシカル」や「サステナブル」という新たな価値(常に自らを陳腐化させることで生き永らえてきたファッション概念とは、いっけん矛盾するように思えます)、VTuberやメタバースでのアバター(「ガワ」と「中の人」)問題…… ファッションをめぐる状況は、私の若かった頃から激変しました。そのような時代の移り変わりのなかで、本書は次のファッション批評の方向性を指し示す一冊になったと思います。

ファッションを専門とする方、あるいはこれから専門にしたい方、ファッションが大好き!という方はもちろんですが、むしろ違和感や葛藤や疑問を持っている方にこそ、ぜひ読んでほしいです。ファッションについて思考する、さらにはファッションを通して思考するためのヒントの詰まった一冊です。

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