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日本文学文化学科 木村尚志准教授の初単著『中世和歌の始まり』が刊行されました

日本文学文化学科木村尚志准教授の著書、『中世和歌の始まり 京と鎌倉をつなぐ文化交流の軌跡』(花鳥社、2021年9月)が刊行されました。木村准教授が、自著について語ってくれました。



「これまで関心の赴くままに書き溜めて来た論文を、中世和歌における〈対立の統一〉というテーマに沿って色付けをした初めての単著です。『平家物語』と『新古今集』という中世文学の二大作品を生み出した鎌倉初期の戦乱の時代を、人々はどのような思いを抱えて生きていたのでしょうか。

かつては旧弊な貴族社会を克服して武士が新しい時代を切り開いた、というような中世史の見方が一般的でした。しかし、実際には武士は天皇を中心とした貴族社会の基盤は決して崩さず、その基盤の上に武士と貴族が共存する社会を築こうとしました。この〈対立の統一〉という中世の思潮は、天台本覚論という人間平等観に由来しています。女性の人権を認め、『御成敗式目』という優れた司法制度を整えた倫理的社会が生まれたのが鎌倉初期だったのです。その中で和歌の表現も奇抜な風情ではなく、いわゆる平淡で味わい深い穏やかな風体が好まれるようになっていきます。近代までの長い伝統を誇った二条派の歌は、戦乱の世を経た後に訪れた政治的に安定した中世初期の平和の産物であったわけです。但し、その安定は蒙古襲来という大事件によって崩壊するのです。

封建社会という「中世」の一般的イメージとはかけ離れた、理想的な中世の一時期に花ひらいた文学の本質を本書では論じています。ぜひ図書館や書店で手に取ってみてください」

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