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故・鈴木正彦名誉教授の鈴木正彦記念土鈴館が開館しました
和洋女子大学の名誉教授であり、民俗学・国文学の大家としても知られる故・鈴木正彦氏(1922年~2020年)は、土鈴博士とも称されるほど、土鈴の収集と研究に情熱を注ぎました。先生が生涯をかけて収集した土鈴は、実に1万5千点以上。そのうち一部は、和洋女子大学の文化資料館に寄贈されていますが、約1万3300点は静岡県森町の小國神社に奉納され、その収蔵品をもとに2025年8月24日、鈴木正彦記念土鈴館が開館しました。
【写真】地域ごとに特定の象徴や宗教的・文化的シンボルを持った土鈴(和洋女子大学文化資料館所蔵)
鈴木正彦先生の歩み
岐阜県中津川市に生まれた鈴木先生は、國學院大学で折口信夫に師事し、戦後は折口の助手を務めました。1950年に和洋女子大学に着任し、助教授・教授を経て名誉教授に就任。昭和の本居宣長とも呼ばれ、鈴の音に宿る精神性や文化的意味を深く探求されました。
土鈴とは何か
土鈴は、粘土を型に入れて成形し、中に玉や小さな土塊を入れて焼き上げた鈴で、振ると澄んだ音色が響きます。縄文時代の遺跡からも発見されており、古くから魔除けや厄除け、招福祈願の祭具・呪具として用いられてきました。現在でも神社や寺院で授与品として親しまれています。
鈴木正彦記念土鈴館の魅力
土鈴館では、奉納された1万3300点の中から厳選された約900点が展示されています。干支をかたどったもの、各地の祭事や風俗を表現したもの、神話や伝説に登場する神々や動物をモチーフにしたものなど、多種多様な土鈴が並びます。展示は毎年入れ替えられる予定で、訪れるたびに新たな発見があります。
館の建物は木造平屋建てで、八角形の構造を持ち、あらゆる方角からの災厄を祓う魔除けの意味が込められています。中央には大型の土鈴や干支土鈴が展示され、来館者は木の香りに包まれた空間で、土鈴の音色と造形美に触れることができます。

【写真】金で装飾され、青い組紐で結ばれた鯉の土鈴。鱗や尾びれの細部まで丁寧に作り込まれており、躍動感と縁起の良さを感じさせます(和洋女子大学文化資料館所蔵)
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