生活環境学科教員の活動紹介【1】桑原里実助教
「生活に寄り添う環境問題へのアプローチ」に取り組んでいます。
私たちのまわりには、色とりどりの繊維製品があふれています。服をはじめ、カーテン、バッグなど、さまざまな場面で使われています。その多くは、合成染料を使って工業的に染められたものです。最近では、地球温暖化や気候変動、SDGs(持続可能な開発目標)といった視点から、「天然資源を使ったもの」や「環境にやさしい」、「繰り返し使える」、「無駄なく利用する」といったコンセプトの製品が注目されるようになってきました。 本研究室では、環境をテーマにした研究に取り組んでいます。たとえば、「家庭で洗濯したときに衣類が黒ずんでしまうのはなぜ?」という疑問や、「天然染料で染めた羊毛布は、洗濯すると色落ちするのか?」といったテーマをもとに、染料などの吸着や染着のしくみを調べています。 また、ゼミ活動の一環として、繊維製品に関連する学会が主催する講演会や勉強会にも参加しています。そこでは、服飾を学ぶ他大学の学生や企業の方々と交流する機会もあり、多角的に視野を広げることができます。ある勉強会では、「服から服をつくる」企業の取り組みについて学びました。廃棄される衣料の現状や、リサイクル・リユースの実態や方法について話を聞いたあと、参加者が着なくなった衣類を持ち寄り、素材を確認して分別する体験をグループで実施しました。グループで話し合い、自分の意見を発表することで、衣生活と環境のつながりについて深く考えることができました。
天然染料を使った染色に関する研究
「ログウッド」と呼ばれるアカミノキの色素を使って、コットンやウールなどの布を染めています。
染めた布の色の出方や、色がどれくらい長持ちするかなど、染色の特性を詳しく調べています。
家庭での洗濯に関する研究
① 「白い服を洗ったら黒ずんでしまった」、そんな「再汚染」の現象について、実態の調査や、見た目の評価しています。
(この研究は、2022年度から2024年度にかけて日本石鹸洗剤工業会と共同にて研究を進めました)
② 「洗濯するとできてしまう『しわ』」について、レーヨンやコットンなどの布を使い、どんな洗たく条件でしわができやすいかを調べています。
毛髪の性質に関する研究
毎日の生活の中で、髪の毛はさまざまな影響を受けています。たとえば、硬水(ミネラル分の多い水)で洗ったり、ヘアカラーやブリーチをしたり、ヘアアイロンを使ったりすると、髪の性質はどう変わるのでしょうか? こうした要因が毛髪に与える影響を、実験を通して評価しています。