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心理

「心理学は、人のこころや行動を理解しようとする奥深い学問です」(那須里絵助教)

■専門・研究分野
専門・研究分野は臨床心理学および福祉心理学です。臨床心理士・公認心理師の資格を有する心理職として、子どもと養育者(里親・養親を含む)に対する心理的・社会的支援のあり方に関心を持ち、実践と研究の双方に取り組んでいます。
臨床経験としては、地域の子どもと養育者を対象としたグループセラピーの実践や、複数の自治体におけるスクールカウンセラーとしての活動に従事してきました。さらに、英国のアンナ・フロイト(AFC)で開発された、子どもと養育者を対象とするメンタライジングに基づく心理療法であるMBT-C(Mentalization-Based Treatment for Children)について、大学および児童思春期精神科領域において実践および研究を行ってきました。近年では、同じくAFCで開発された、里親を対象としたメンタライジングに基づく支援プログラムであるRFP(Reflective Fostering Programme)を日本に導入し、その実践と研究にも取り組んでいます。他にも、こどもの居場所(とりわけ、支援ニーズの高い子どもを対象とした居場所)に関する研究や、学校と社会的養護の連携に関する研究、さらに虐待予防に資するプログラムの検証などにも取り組んでいます​​​​​。

■現在の道に進もうと決めたきっかけを教えてください
もともとは企業での商品開発などに携わりたいと考えていましたが、大学1年生の一般教養で心理学の授業を受講したことが大きな転機となりました。「仮現運動」を街中で探すフィールドワークに取り組み、その体験をもとにレポートを作成した際に、心理学という学問の面白さと奥深さに強く惹かれたことをよく覚えています。体験を通して学ぶ授業は当時、初めてであり、それをきっかけに心理学への関心が一気に高まり、大学院へ進学しました。
大学院に進学してからは、約10年間にわたり、子どものグループセラピーにセラピストとして継続的に携わってきました。グループでは、子どもや集団の状態をアセスメントしながら毎回の「アクティビティ」を組み立てていく必要があり、そのプロセスに大きなやりがいを感じ、試行錯誤を重ねながら取り組んできました。同時に、グループを運営する中で子どもの気持ちを丁寧に捉え続けるトレーニングを受け、「子どもの気持ちを聴く」という姿勢を徹底的に学ぶ機会となりました。
また、子どもと関わることは必然的にその養育者との関わりを含むものであり、次第に養育者の思いや背景にも関心が広がっていきました。当初は子どもの視点に寄り添うことに精一杯でしたが、自身のライフステージの変化とともに養育者の立場への理解も深まり、里親さんを含む養育者を支援することの重要性を強く意識するようになりました。
同時に、スクールカウンセラーとして学校現場で勤務する中で、福祉的支援の必要性を感じても、心理職としての知識や役割には限界があり、支援のあり方に悩む場面も多くありました。こうした経験を通して、社会的養護や社会的養育の領域により深く関わり、心理と福祉の双方の視点から心理的・社会的支援を探究していきたいと考えるようになり、現在の実践・研究の方向性を志すに至りました。

■心理学を学んでいてよかった、と思えたエピソードはありますか?
心理学を学んでいてよかったと感じるのは、「物事を一つの見方にとらわれず、さまざまな可能性から考えられるようになったこと」です。相手の状況や気持ちについて理解しようとする際の視野が広がったと実感しています。
私たちは日常の中で、つい「普通はこうするはず」「こうすべきだ」といった前提で物事を判断してしまいがちです。しかし、実際には一人ひとりに異なる背景や事情があり、その人なりの理由や文脈の中で行動が成り立っていることも少なくありません。そのことに気づけるようになったのは、心理学を学んだ大きな意義の一つだと感じています。
そして、そのような背景を理解するためには、安易に結論づけるのではなく、対話を重ねながら丁寧に相手を知っていく必要があります。自分自身の常識やこれまでの経験だけでは捉えきれない世界があることを前提に、謙虚さと好奇心を持って向き合う姿勢が大切だと考えています。こうした姿勢は、臨床や研究においても基盤となるものであり、これからも大切にしながら実践と研究に取り組んでいきたいと思っています。

■趣味や、今、ハマっていることがあれば教えてください
大学院生の頃は登山が好きで、雪山も含めてさまざまな山に登っていました。現在はなかなか時間が取れていませんが、落ち着いたらぜひ再開したいと思っています。日常の中では、コーヒーと読書が大切な時間になっています。忙しい中でも、少しの時間でもコーヒーを淹れて、紙の本で活字を読むと気持ちが整い、良いリフレッシュになっています。また、漫画やアニメも好きで、気分転換として楽しんでいます。学生の皆さんからおすすめの作品があれば、ぜひ教えていただけると嬉しいです。

■学生たちへのメッセージ
心理学は、人のこころや行動を理解しようとする奥深い学問です。大切なのは、「わからなさ」を大事にしながら、相手に関心を持ち続けることだと思います。自分の常識だけで判断せず、その人の背景に目を向ける姿勢を忘れずに、謙虚さと好奇心を持って、私も皆さんと一緒に学び続けられたらと思います。

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