キーワードで学ぶ国際観光確定版

77 明治日本の産業革命遺産をめぐる日韓対立 世界遺産の登録には国際政治が絡むことがある。その例の一つに2015年7月 に世界遺産委員会で登録が決定された「明治日本の産業革命遺産」がある。登 録をめぐって、韓国政府は、第二次世界大戦中に朝鮮人が強制徴用された工場 や施設が遺産に含まれているとして反対し、日本政府から世界遺産委員会への 推薦の段階から、韓国政府は登録反対のロビイングを国際的に展開した。15年 5 月の専門家の諮問団体であるイコモスは「登録」を勧告したが、韓国の反対 は続き、ボンでの世界遺産委員会直前の6月の日韓外相会談で、お互いの推薦 案件を支持することで政治決着が図られた。しかし、ボンでもスピーチの文言 などで対立が再燃し、ぎりぎりで妥協がなされた。 【参照項目】 【参考文献】木曽功(2015)『世界遺産ビジネス』小学館. (杉浦功一) モノ消費からコト消費 リピーターの訪日外国人、とりわけ欧米人を中心に、買い物主体の「モノ消 費」から体験などを主体とした「コト消費」へと観光の目的が移っているとい われている。 例えば、 ゲームのカートやコスチュームで公道を走る「マリカー」、 レンタル着物で古都の街歩きをする、フクロウカフェや猫カフェ、日本食ツア ーや料理教室、人力車、茶道体験、侍・忍者・舞妓の体験。サイクリングツア ーなどが人気である。これらは観光資源の乏しい地方でも充実させることがで きる上、訪日外国人だけでなく国内消費も物が飽和して「コト消費」に移って いるといわれることから、ビジネス上の注目ポイントとなっている。 【参照項目】サイクル・ツーリズム、ショッピング(爆買い) 【参考文献】国土交通省観光庁観光資源課(2019)「体験型観光コンテンツ市場の概観:世界 のコト消費と海外旅行者の意識・実態の調査結果」 https://www.mlit.go.jp/common/001279555.pdf. (藤丸麻紀)

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