キーワードで学ぶ国際観光確定版

67 国際観光の国家間競争 国際観光が世界で有力な産業として注目され国家間の競争も激しさを増し ている。2017年の外国人旅行者受入数は、人口約6000万人のフランスが8692 万人で1 位となり、スペインが8187万人で2 位、アメリカが7694 万人で3位 であった。人口1億 3,000万人弱の日本は、15年の1,974 万人の16位(アジ アで5 位)から2869 万人の12 位(アジアで3 位)であった。18 年には3119 万人に増えた。しかし、同じアジアの中国(4位6074 万人)やタイ(10 位3548 万人)の後塵を拝している。発展途上国であるタイが日本を上回る理由には、 1960 年代から計画的に国際観光に重点を置いてきたことが挙げられる。日本政 府も、国際観光に力を入れるようになったが、まだ観光資源に見合う能力を発 揮できていない。 【参照項目】ソフトパワーと観光 【参考文献】デービッド・アトキンソン(2017)『世界一訪れたい日本のつくりかた 新・観 光立国論【実践編】』東洋経済新報社. (杉浦功一) コンテンツ・ツーリズム(聖地巡礼など) コンテンツ・ツーリズムとは、文学、映画、テレビドラマ、漫画、アニメな どの作品(コンテンツ)の舞台や撮影地となった場所、さらに作者のゆかりの 地などを巡る旅行である。古くは映画「ローマの休日」の舞台となった場所を ローマ市内観光で訪れるといった「フィルムツーリズム」から、最近ではアニ メの舞台になった土地を「聖地」と称して訪れる「聖地巡礼」など様々な形態 がある。その地域振興効果を狙って、自治体等がフィルム・コミッション(撮 影誘致・支援の機関)を設立してロケ地の誘致を積極的に行うこともある。ま た、映画の撮影地をそのまま保存して観光名所にするという動きもある。ただ しロケ地となれば必ずコンテンツ・ツーリズムで成功するわけではなく、また 盛り上がっても一過性に終わる場合も多い。 【参照項目】クールジャパン政策、聖地巡礼 【参考文献】筒井隆志(2013)コンテンツツーリズムの新たな方向性:地域活性化の手法とし て~.経済のプリズム.110,p10-24. (藤丸麻紀)

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