キーワードで学ぶ国際観光確定版

54 観光基本法 日本の観光政策についての歴史は意外と長い。それを示すのが、1963年に成 立したこの「観光基本法」である。その前文には、観光による国際収支の改善 といった経済的な目的だけでなく、国民の健康で文化的な生活の推進や国際親 善・国際平和の推進といった崇高な目的がうたわれている。また条文では国が 観光振興をサポートすることを明記し、併せて地方自治体の施策の実施や関係 団体の整備についても書かれている。この法律の成立の翌年、日本でははじめ て東京でオリンピックを開催することになる。こののち、高度経済成長期を通 して長く日本の観光政策の基本法となってきたが、2006年に全面的に改題され、 同年に成立した「観光立国推進基本法」に取って代わることとなった。 【参照項目】観光立国、海外旅行倍増計画(テンミリオン計画) 【参考文献】観光庁ウェブサイト「観光立国推進基本法」 http://www.mlit.go.jp/kankocho/kankorikkoku/index.html (金丸裕志) 観光立国 観光を国家経済の主要産業の一つと考え、政府を中心に計画を立案し政策を 実施することで、観光を国の経済成長戦略に位置づけること。デービッド・ア トキンソンは『新観光立国論』の中で、これから少子高齢化と人口減少を迎え る日本経済の起爆剤として「短期移民」としての観光客誘致が不可欠であると 主張する。 日本では1963 年に制定された観光基本法を全面改訂し、2007 年に「観光立 国推進基本法」を施行している。その後、急速に外国人旅行客の流入が増加し、 その消費支出に伴う経済波及効果が日本全体で見られるのみならず、地域経済 にも好影響を及ぼしている。 【参照項目】観光大国、観光基本法 【参考文献】①デービッド・アトキンソン(2015)『新観光立国論』東洋経済新報社. ②観光庁ウェブサイト「観光立国推進基本法」 https://www.mlit.go.jp/kankocho/kankorikkoku/kihonhou.html (金丸裕志)

RkJQdWJsaXNoZXIy NDU4ODgz