キーワードで学ぶ国際観光確定版

48 ボーダーツーリズム ボーダー(border)すなわち「国境・境界」を中心に巡る観光形態のこと。 国境地帯には紛争の原因や(国家を中心として見たときの)周辺文化の存在が 見られ、教育・研究の対象としても価値がある。欧米には境界研究学会もあり、 学術研究も進められているが、日本では北海道大学のスラブ研究所で岩下明裕 教授を中心にプロジェクトが進められ、学術研究のみならず、民間企業や一般 市民をも巻き込んだ「国境ツアー」なども展開されている。その成果は『ボー ダーツーリズム』でまとめられ、その中では対馬と韓国、サハリンと稚内、沖 縄と台湾などのツアーの経緯がまとめられている。「ボーダーツーリズム」は、 2015年には『現代用語の基礎知識2016』に収録されている。 【参照項目】マスツーリズムと特定ツーリズム(ポスト・マスツーリズム) 【参考文献】①岩下明裕編(2017)『ボーダーツーリズム』北海道大学出版会.②ボーダーツ ーリズム推進協議会 https://www.border-tourism.com (金丸裕志) マスツーリズムと特定ツーリズム(ポスト・マスツーリズム) 旅行そのものはもちろん古くからあるものだが、多くの人々が観光旅行に出 かけるようになったのはそれほど古いことではなく、欧米でも経済成長が進ん だ第二次世界大戦後、日本に至っては1970 年の大阪万博以降になって、観光旅 行の大衆化すなわち「マスツーリズム」が急速に進んだ。背景には、多くの人々 が観光旅行に支出するだけの経済的余裕ができたこと、鉄道や航空などの交通 が発達したことなどの原因がある。しかし今日、定番の観光地に集団で訪れる というマスツーリズムの手法は一部の人々には飽きられてきており、特定の目 的地や特定のテーマ、特定の手段で旅行する「特定ツーリズム」が広く見られ るようになり観光旅行の細分化が進んでいる。 【参照項目】観光公害、サステナブル・ツーリズム 【参考文献】①手島廉幸(2008).マスツーリズムの歴史的変遷と今後の行方.日本国際観光 学会論文集.15,p11-17.②岡本伸行編(2001)『観光学入門―ポスト・マス・ツーリズムの観 光学』有斐閣アルマ.第2章. (金丸裕志)

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