キーワードで学ぶ国際観光確定版

46 バックパッカー バックパッカーとはどのような旅行者であろうか。一般的には、バックパッ クを背負って、ゲストハウスなどに泊まりながら長期旅行をするイメージが想 起されるだろう。これは間違いではないが、正解でもない。近年、格安航空券 の出現によって誰もが気軽にバックパッカーの旅に出られるようになった。そ のため、夏休みになると、空港には新品のバックパックを背負った大学生の姿 をよく見かける。また、綺麗なホテルしか泊まりたくないという者も少なくな い。最近では、旅の記録をメディアで発信して、資金を稼ぎながら旅をする者 (Vlogger、旅ブロガー、旅行系インスタグラマー)もいる。このように、ひ とくちにバックパッカーと言っても様々な旅の形がある。 【参照項目】 バックパッカー・エンクレーブ、ゲストハウス 【参考文献】 ①板垣武尊(2018)アジア地域におけるバックパッカーの目的地の変遷.李・ 臺編『国際社会観光論』志學社.p161-182.②大野哲也(2011)バックパッキング・ツーリズ ム研究.江口信清・藤巻正己編著『観光研究レファレンスデータベース-日本編』ナカニシ ヤ出版.p94-102. (板垣武尊) バックパッカー・エンクレーブ バックパッカー・エンクレーブとは、バックパッカー向けの安価なゲストハ ウスや西洋風の飲食店などが集積する地区である。バックパッカーが多く訪れ る都市や観光地に形成され、バンコクのカオサン通り、ホーチミンのファング ラオー通り、香港の重慶大厦、中国雲南省の大理、デリーのパハールガンジな どが知られている。また、東京の山谷や大阪の新今宮にも、バックパッカー向 けのゲストハウスが集積している。慣れない異国を旅するバックパッカーにと って、バックパッカー・エンクレーブはほっとひと息つける場所として機能し ている。ただし、その安心感からかハメを外してしまうこともあり、騒音や薬 物などのトラブルが報告されている。 【参照項目】 バックパッカー、ゲストハウス 【参考文献】 ①横山智(2007)途上国農村におけるバックパッカー・エンクレーブの形成 ―ラオス・ヴァンヴィエン地区を事例として.地理学評論.80(11),p591−613.②松村義久 (2009)大阪国際ゲストハウス地域を創出する試み.神田孝治編著『観光の空間-視点とア プローチ』ナカニシヤ出版.p264-274. (板垣武尊)

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