キーワードで学ぶ国際観光確定版

26 観光における交通 観光における交通には、①出発地と目的地を結ぶ手段、②楽しみの対象とし ての乗り物、が存在する。前者は目的地までの距離や観光者の時間的制約に基 づいて、航空、鉄道、バス、車(自家用車、レンタカー)、バイクなどから選択 される。第二次世界大戦後のジェット旅客機や自動車の発展によって、我々は より早く、遠くに行くことが可能になった。さらに、近年ではLCC(Low-cost carrier)と呼ばれる格安航空会社の登場によって、国際観光客数は増加の一途 を辿っている。後者には、観光列車、観光タクシー、観光バス、レンタサイク ルなどが挙げられる。これらの乗り物は、観光客を移動させるだけでなく、移 動そのものに楽しみを付与してくれる。 【参照項目】 観光行動論、観光列車、サイクル・ツーリズム 【参考文献】 塩見英治・堀雅通・島川崇・小島克巳編著(2017)『観光交通ビジネス』成山 堂書店. (板垣武尊) 観光の影響 観光は観光地に様々な影響を与える。一般的に言われている影響や効果には、 ①経済インパクト、②環境的インパクト、③社会文化的インパクトの3種類が 挙げられる。経済インパクトには、観光によって得られる経済効果や南北問題 などがある。環境的インパクトには、観光によって生じる自然破壊や大気汚染 などがある。社会文化的インパクトには、観光が観光地の社会システムや文化 に与える影響がある。具体的には、観光が地域振興に貢献したり、観光客が「負 の遺産」を訪れることで追悼の意が示される。一方で、観光地の文化を変容さ せたり、オーバーツーリズムなどの社会問題が発生する。そのため、我々はい かに観光と向き合っていくのかについて考える必要がある。 【参照項目】アルベルゴ・ディフーゾ、観光の波及効果の考え方、オーバーツーリズム、サス ティナブル・ツーリズム、エスニック・ツーリズム、ダークツーリズム 【参考文献】オッパーマン,M.チョン, K. S.著,内藤嘉昭訳(1999)『途上国観光論』学文 社. (板垣武尊)

RkJQdWJsaXNoZXIy NDU4ODgz