キーワードで学ぶ国際観光確定版

9 観光空間の発展と変容 観光地は動態的なものであり、時間の経過と共に変容する。ある場所が観光 地になると、観光客向けのインフラが整備され、観光資源の周辺には観光客向 けの様々な施設が集積する。また、様々な要因によって、観光地が衰退するこ ともある。このような観光地の変化を観光空間の発展または変容と捉え、観光 地理学では主要な研究テーマとして扱ってきた。 その中でもよく知られているのが、Butler(1980=2002)の観光地ライフサ イクルモデル(Tourism Area Life Cycle)である(図1参照)。観光地は、「探 査」、「関与」、「開発」、「強化」、「停滞」、「再生」、もしくは「衰退」の順に変容 する。観光地発展の初期段階(「探査」、「関与」)の段階では、訪問者は数少な い物好きな旅行者に限定されており、現地住民による観光施設が誕生する。そ の後、「開発」の段階に入ると観光客数は増加の一途を辿り、外部資本による大 規模な観光開発が行われる。しかし、観光客数が観光地の許容限界量に近づく と発展の度合いが停滞し、魅力が下がって「衰退」するか、観光地の何かしら の努力によって「再生」する。 【参照項目】 中国雲南省における観光開発、東南アジアの海浜リゾート 【参考文献】 ①ダグラス・ピアス著 内藤嘉昭訳(2001)『現代観光地理学』明石書店. ②リチャードW.バトラー著 毛利公孝,石井昭夫訳(2002)観光地の発展周期に関する考察: 観光資源管理のための一視点 (翻訳 観光地発展段階の基礎理論).立教大学観光学部紀要. 4,p98-103. (板垣武尊) 図1 観光地ライフサイクルモデル

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