64 危機遺産とバーミヤンの石仏破壊 ユネスコは、世界遺産を守るため、いわゆる危機遺産リストを活用する。世 界遺産のうち、損壊の進行や工事、開発、武力紛争、自然災害により、重大か つ特別な危険にさらされ、保存のための大規模な工事への援助が要請されてい るものが、危機遺産リストとして世界遺産委員会の決定で登録される。しかし 間に合わないこともある。2001 年、アフガニスタンのバーミヤンの大仏が、当 時のイスラム主義のタリバン政権により破壊された。当時の松浦ユネスコ事務 局長はタリバンによる破壊予告後、やめさせるべく国際的なキャンペーンを行 い、タリバン指導者にも働きかけたが、結局破壊を止められなかった。破壊後 バーミヤン一帯は危機遺産リストに登録された。 【参照項目】プレアビヒア寺院遺跡とタイ・カンボジア国境紛争 【参考文献】松浦晃一郎(2004)『ユネスコ事務局長奮闘記』講談社. (杉浦功一) クラフトビール(地ビール) クラフトビールとは、小規模の醸造所が各地で生産するビールのことで、か つては「地ビール」と呼ばれていた。もともと、ビールに限らずアルコール飲 料の生産や販売は酒税法によって厳しく規制されていたが、1994年、規制緩和 の一環で酒税法が改正され、最低製造数量基準がそれまでの2,000キロリット ルから60 キロリットルに引き下げられた結果、小規模生産のビール醸造所が 許可されることになった。1990 年代を中心に各地に地ビール生産者が急増した が、2000 年代以降落ち着きはじめ、近年では「クラフトビール」の名の下に、 地域性を出した銘柄を打ち出して観光客に消費され、同時に地域経済にも好影 響を与えることから、ベンチャー企業も増えて再び存在感を示している。 【参照項目】観光収入、フードツーリズム 【参考文献】日本ビアジャーナリスト協会https://www.jbja.jp/archives/3522 (金丸裕志)
RkJQdWJsaXNoZXIy NDU4ODgz