キーワードで学ぶ国際観光確定版

37 エスニック・ツーリズム エスニック・ツーリズムは、少数民族の「古風で面白い」風習などが残る村 や民族のテーマパークなどを訪れる観光形態である。観光客は、原始的な生活 様式の見学、珍しい工芸品の購入、ダンスや儀式の観察などを楽しむ。観光客 の期待やまなざしは純粋な伝統文化に向けられるが、そのほとんどは観光客向 けに演出された展示用の文化である。また、観光客と現地住民の間に不均衡な 力関係が構築されている例も少なくない。 エスキモー(アメリカ、 アラスカ州)、 「首長族」(タイ、メーホーソン)、アイヌ民族(北海道、アイヌ民族博物館)、 中国民族文化村(中国、深圳)などを対象とした観光が知られる。 【参照項目】 観光(客)のまなざし、エスニックタウン 【参照項目】 ①ヴァレン・L・スミス編,市ノ澤潤平・東賢太郎・橋本和也監訳(2018)『ホ スト・アンド・ゲスト-観光人類学とはなにか』ミルネヴァ書房.②山下晋司編(2007)『観 光文化学』新曜社. (板垣武尊) グランドツアー ヨーロッパの貴族や裕福な上流階級の子弟が、古典的教養を修得すること などを目的に行ったヨーロッパ内の旅行のこと。旅行は数ヶ月から数年を要 し、費用もきわめて高額であった。世紀末から18世紀にかけてのイギリスを 発祥の地とするが、やがてヨーロッパ内に広がった。古代ローマの遺跡やフィ レンツェを中心にルネサンスの芸術品をもつイタリアは主たる目的地のひとつ であり、18世紀末から19世紀にかけての芸術の世界における新古典主義の興 隆の背景ともなった。 【参照項目】アルプス観光 【参考文献】岡田温司(2010)『グランドツアー―18世紀イタリアへの旅』岩波新書. (秦泉寺友紀)

RkJQdWJsaXNoZXIy NDU4ODgz