2世界経済フォーラムによるジェンダーギャップランキング2024では、日本は146か国中118位と低迷し、男女格差が埋まらない状況が続いています。ジェンダーギャップはG7の中でも最下位であり、ジェンダー平等の実現に世界から後れを取っています。日本では男女平等の理念を包摂する日本国憲法をはじめとして、女性差別撤廃条約の批准などを背景に、男女雇用機会均等法、男女共同参画社会基本法、女性活躍推進法などが制定されてきましたが、ジェンダーギャップ118位という数字は、様々な分野で男女の不平等や格差が残存していることを象徴的に表しています。人々が社会で生きるとき、すべての人が平等に教育を受け、仕事や活動への参加ができる社会をめざさなければなりません。しかしながら、実際にはさまざまな制約により、政治への参画や教育を受けること、仕事をすることなどの社会参加が十分にできない状況が生まれています。ジェンダーギャップは、性の在り方により、社会参画に格差が生じている状況の表れと言えます。性の在り方は、女性/男性の2元論に帰結するものではなく、ジェンダー(社会・文化的につくられた性の在り方)、セックス(生物学的な性)、セクシュアリティ(性的行動や性的指向、性自認などを含む幅広い概念)が複雑に折り合いながら形成され、自分自身のアイデンティティ(自分は何者か、についての意識)に強い影響を及ぼしています。性の在り方にかんして、人々は、子どもの時から多様な経験をしながら、自己の思いと周囲から期待される性の在り方のはざまで悩み、葛藤しています。こうした葛藤から解き放たれて「自分はこういう自分なのだ」ということを主張し、生きていくことが望ましいに違いありません。創刊にあたって
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