ジェンダー・ダイバーシティ研究所年報_創刊号
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1) 統計局ホームページ「労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)平均結果の要約」https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/pdf/youyaku.pdf  最終閲覧日2025年3月8日2) 毎日新聞「Be Me~私らしく 国際女性デー2025」2025年3月8日朝刊36事務処理の複雑化などが問題視されている。確かに日本の戸籍制度には、個人が自身の出自を明確に把握できるという機能があり、これが一定の評価に値するとの見方もあるだろう。しかしながら、夫婦同姓が明治時代の「家制度」廃止後も存続し、さまざまな議論が交わされてきたにもかかわらず現在まで見直しされず、大正、昭和、平成、令和を経て日本社会が大きく変容してきた中でも依然として「古い慣習」として存続してきた側面も否めない。姓とアイデンティティにかんする認識も人々の間で変化し続けている。旧姓の使用範囲を拡大する暫定的な対応ではなく、社会でキャリアを築く女性の利便性への配慮、或いは職業的キャリアの有無にかかわらず、個人が自己のアイデンティティを保持する手段として婚姻後も配偶者と異なる姓を選択できる自由を保障する制度の整備が急務であることはいうまでもない。毎日新聞は「選択的夫婦別姓制度は別姓を強制するのもではなく、結婚後、相手の姓を名乗りたい人は、その後の自己のアイデンティティをパートナーの姓で築くことができる。どちらの希望も満たし多くの人の幸せにつながるもので、日本をより豊かな社会にするのではないか」と結んでいる。アメリカにおける「最も高く、最も強固なガラスの天井」の突破や、日本における「選択的夫婦別姓」制度の導入が実現するのはいつになるのだろうか。これらの課題には依然として高い壁が立ちはだかっている。しかし、女性たちは国境を越えた連帯を通じて社会を変革してきた。例えば「#MeToo」運動は、世界規模のセクシュアルハラスメント告発運動へと発展した。3月8日の国際女性デーの今日、戦禍の中でこの日を迎える女性たちに思いを馳せ、私たち一人ひとりにできることは何かを考える機会としたい。

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