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心理学科

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投稿者: shinrigaku
2016/12/15 15:05

現在、“逃げ恥”という愛称で呼ばれるドラマ「逃げるは恥だが役に立つ(TBS系列、毎週火曜日放送)」がエンディングの恋ダンスと共に、とても流行っていますね。このコラムでは、この“逃げ恥”に表現されている心を読み解いていきましょう。

主人公の2人は、ドラマの定番であるこじらせキャラとして登場しました。2人のこじらせぶりに共通するのは、無駄を省き、効率的、理性的であることを意味する「合理性」だと思います。みくりさんは、自分の考えを筋道立てて自己主張しようとする女性です。ところが「小賢しい」とフラれ、「優秀だから」と派遣切りに遭って、居場所がなくなります。一方、「プロの独身」平匡さんのプロたる理由は、心の動揺を他人から見られることを恐れていることのようです。合理的であろうとすると、なんだかんだ社会になじみにくく、孤立しやすいということが描かれているのかもしれません。
しかし、そこがドラマの良いところ、そんな2人が見事に出会って、「契約結婚」という「合理性」あふれる解決策を採ることで一致します。2人を社会から距離を置かせることになった「合理性」が、2人の距離を近づける役目も果たしているという逆説をそこに見つけることができます。短所であったものが一発で長所に逆転するのは恋愛物ならではのワクワクドキドキな展開とも言えますが、現実の人生でも、人の短所や長所は安易に決めつけることができないものであるように思います。とはいえ、「すばらしいです。合理的で(第1話:みくり)」と、相性ばっちりの出会いを果たした2人があっさりゴールインするかと言えば……そうではありません。いかなる人にも「困難を避けようと逃げた先で、かえって困難にぶつかる」という運命のようなものが待ちかまえているからです。2人の困難とは言葉にならない気持ち、身体が返している反応、「合理性」では測れない心の存在を認めることにあるようです。2人の運命は、これら不合理な心から逃げるのではなく認め、向き合い、育てていくことにあるのでしょう。合理性と不合理は逆のことのように見えて、実は両立するという心の成長の真実を2人は学んでくれそうです。同時に「合理性」の意味を、より高い次元から学ぶこともできるでしょう。このドラマ、2人が自分たちの心の動揺に振り回されつつ、不器用なままに、改めて「合理性」で捉え直そうと奮闘して、さらに振り回される姿がコメディタッチで可愛らしく描かれています。この可愛らしさが視聴者に2人を育てているような感覚へと気持ちをくすぐられてしまいます。そんなところが人気の秘密と言えるかもしれません。

ところで「逃げるは恥だが役に立つ」というのは、ハンガリーの諺に由来するそうです。プライドや世間体を捨て、実利を取ろうとしているという意味で、まさに「合理性」を表す諺です。ただ決して、何事からも逃げることを正当化する言葉ではありません。現実の人生でも、困難を避けようとして逃げると、かえって困難にぶつかるように思います。「逃げるは恥だが役に立つ」という言葉は、不安に煽られ、視野が狭くなってしまった時の気分転換や発想の転換のために有益な言葉なのであり、無駄な戦いを避けるという意味においてのみ、価値のある言葉なのだろうと思います。

番組はいよいよ最終回! 「必要だったのはシステムの再構築ではなく、気持ちを、本当の気持ちを伝え合うこと(第9話:平匡)」だと気づいた2人の恋の行方を、みなさんといっしょに見たいと思います。そして入学後には、人の心とは何か、人が生きていくのにどのような関わりが有益なのか、いっしょに考えていきましょう。心理学類でお待ちしています。

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