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心理学科

名前: shinrigaku 作成日: 2016/04/19 16:50
教員コラム

投稿者: shinrigaku 投稿日: 2020/03/16 14:46
心が傷ついたときの対処法
人から傷つくことを言われたとき、みなさんはどうしますか?
人に知られないようにわざと明るく振る舞ったり、できるだけ早く忘れようとして、勉強や部活に没頭したり、楽しいことを想像したり……。そうしているうちに忘れられるなら、傷は浅かったと言えるでしょう。ところが、いつまでも心の中に残ってしまい、忘れられないこともあります。そんなときは、体の傷を優しく手当するように、心の傷を優しく見てあげられるといいのですが……。

 
私たちは大事な友達に優しく声をかけることはできますが、自分の心を優しく見てあげることは案外苦手で、厳しく自分を責めてしまう人も少なくありません。たとえば、“そんなこと言われたぐらいで傷つくなんて情けない”とか“早く忘れて、勉強でもすればいいのに”といった調子で、自分を非難したり、励ましたりすることが多いようです。でもこのような叱咤激励(しったげきれい)では、心の傷を治すことはできません。それではどうしたらいいのでしょうか?
 
カウンセリングの効果について研究したジェンドリン(Gendlin, E.T)は、自分の心が今どのような状態になっているのかを優しく見て、実感し、それを言葉やイメージで表すことができると、心の傷が治ることを見出しました。そして、この一連のプロセスをフォーカシング(Focusing)と名づけました。フォーカシングは成功したカウンセリングの中で生じるプロセスですが、それだけではなく、日常生活の中でも、友達に話を聴いてもらっているときや、日記を書いているときにも生じることがあります。私は心の健康に最も効果的な筆記の仕方について、研究しています(本研究は科学研究費補助金(基盤研究(C)研究代表者酒井久実代、課題番号15K04147 による助成を受けて実施しています)。
 
心の傷を癒すカウンセリング
カウンセリングはうつ病などの精神疾患の治療技法として行われるだけでなく、心の傷を癒す技法でもあります。心の傷は誰もが日常生活で経験するものですが、適切な手当てをしないと、いつまでも心に残っていて、その人を前に進めなくさせてしまうことがあります。たとえば、20代、30代に“ひきこもり”になってしまった人のお話を聴くと、子どもの頃の親子関係や級友との関係の中での心の傷をずっと引きずっていることも少なくありません。心に傷を受けたときは、それを見ないようにするのではなく、優しく見てあげる必要があります。でも、それを一人でやるのは怖かったり、難しかったりするので、一緒に見てくれる人がいると助かります。それを専門的にする人がカウンセラーです。 
 
カウンセリングを学ぶことの意味
私は大学でカウンセリングの理論や方法を教えています。和洋女子大学の心理学科では、公認心理師というカウンセラーの国家資格に対応したカリキュラムを2019年度からスタートさせます。このカリキュラムで学んだ人が将来、カウンセラーになって活躍してくれたら、どんなにうれしいことでしょう。でも実は私が望んでいることはそれだけではありません。カウンセラーにならない人にもカウンセリングを教えて、自分の心の健康を守る術(すべ)を身につけてもらい、職場や家庭、地域での人間関係にも活かして、幸せな生涯を送れるよう願っています。
 
公認心理師は“国民の心の健康の保持増進に寄与すること”が求められています。健康寿命を延ばすことが、今の日本の目標となっていますが、この健康には当然“心の健康”も含まれています。高齢者になっても、人の話を親身に聴くことはできると思いますし、自分の心を見て、それを人に伝えることもできると思います。カウンセリングは、その人の心の健康を一生守ってくれる技になるのではないでしょうか。

カウンセリングは練習することによって、少しずつできるようになるものですが、私もまだまだ練習が必要です。
みなさんも心理学科で共に学んでいきませんか?

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投稿者: shinrigaku 投稿日: 2020/02/01 14:04
今回の教員コラムは池田幸恭准教授です。

■人工知能(AI;Artificial Intelligence)導入への意識

「人工知能(AI)」が世界を変える。新聞やニュースで人工知能(AI)の話題は大きく取り上げられています。映画やマンガのSF作品で観たような世界がやって来るのでしょうか。人工知能(AI)とは、知的なコンピュータを作る科学と技術の様々な領域の総称であり、身近な例としてスマートフォンの「音声認識」なども含まれるといえます。将来、もしあなたの職場に人工知能(AI)が導入されるとすると、あなたは以下の図①のAとBのどちらの考え方に近いでしょうか。


 
総務省が行った調査では、日本の就労者1,106名の約半数(47.0%)が「どちらにもあてはまらない」と回答しており、人工知能(AI)の導入に肯定と否定の両面を感じていることが指摘できます。なお、「Aの考え方に近い」は6.2%、「どちらかというと、Aの考え方に近い」は29.5%、「どちらかというと、Bの考え方に近い」は12.6%、「Bの考え方に近い」は4.7%という結果でした。

■人工知能(AI)時代に心理学を学ぶ意義
私たちは人工知能(AI)導入が進む、いわば「人工知能(AI)時代」を生きているといえます。そのような人工知能(AI)時代に心理学を学ぶ意義とは何でしょうか。ポイントを以下の図②にまとめてみました。


 
第1に、人工知能(AI)との比較によって、人間の心の理解が深まることが考えられます。「人間はどこまで動物か」、「人間とロボットの違いは何か」というように、何かと比較することで人間の心理の特徴はより明確になるといえます。 第2に、人間にしかできないことや人間の得意な分野が注目されることになり、人の心に寄り添う心理学の重要性が大きくなることが考えられます。心理学の専門的な仕事に限らず、人工知能(AI)が広がる社会だからこそ、心理学で学んだことが日常生活に役立つことも増えてくるかもしれません。 第3に、人間と人工知能(AI)のパートナーシップについて考えることに心理学は貢献できるといえます。人工知能(AI)の導入は人間にどのような影響を与えるのか、人間と人工知能はどのような関係を持つことができるかということも、心理学にとっても重要なテーマであると考えられます。

■心理学の学びに興味を持った方へ
「人工知能(AI)が広がるからこそ人と人との触れ合いを大切にしたい」、「そもそも知能って何だろう」など、皆さんが抱いた疑問や感想をぜひ大切にしてください。人工知能(AI)の導入が進む中で、心理学の重要性もますます大きくなることが考えられます。和洋女子大学では、相手の心に寄り添うことをめざして、人間の心理を理解するための心理学の考え方や方法を学ぶことができます。

心理学科や心理学の学びに興味が湧いた方は、ぜひ学校見学にお越しください。私たち教員が皆さんの様々な疑問や質問に詳しくお答えします。

【参考】
日本心理学会 2018年 ヒト vs. 人口知能 心理学ワールド80号
総務省 2016年 平成28年版情報通信白書
総務省 2016年 ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究

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投稿者: shinrigaku 投稿日: 2019/06/07 11:09


■専門・研究分野
専門分野は臨床心理学で、公認心理師と臨床心理士の資格を取得し、主に医療機関においてカウンセリングに携わってきました。とくに、認知行動療法というアプローチを専門としており、これまでは依存症を抱える方への支援を中心に行ってきました。研究では、ギャンブル障害(いわゆるギャンブル依存症)の方を対象として、ギャンブルを続けざるを得ない背景の違いに着目し、その差異に応じて効果的な支援方法を明らかにすることに取り組んできました。ギャンブルを断つことだけではなく、主観的に満足度の高い生活を送ってもらえるようになることをめざしています。

■現在の道に進もうと決めたきっかけ
中学生くらいの時から、人の性格がそれぞれ違うことに興味を持つようになり、それが最も初期のきっかけだったと思います。その後、高校生の時に、大きな壁を前にして挫折を経験し、悩んでいた時期がありました。そのような中でのある朝、目が覚めたときに、「心理学」というワードが頭の中に突然浮かんできたことを覚えています。自分の今の苦しい経験を他の人の為に役立てることができるのではないかと思い、それをきっかけとして臨床心理士をめざすようになりました。
現在は、大学で学生たちとかかわる仕事に就きましたが、とても充実感が得られています。思い返すと、臨床心理士をめざす前は、学校の先生になりたいと思っていたので、その思いも違う形で叶えることができたようです。心理学者としての専門性も磨きつつ、学生たちのこれからの人生を豊かにしていくためのお手伝いができたらと思っています。

■学生たちへのメッセージ
人との出会いやつながりを大切にしていただけたらと思います。私自身も、本当にたくさんの方の助けをいただいて、今があります。周りの人を大切にすると、自分も周りの人から大切にしてもらえるのだと感じています。
また、壁にぶつかることは誰にでもあり、その時には「この苦しみから逃れたい」と、誰もが思うはずです。しかし、大きな壁にぶつかったときに、すぐに登るのをやめてしまうのか、少しだけでも登ってみようとするのかによって、結果は大きく変わってくると感じています。大きな壁を乗り越えることができたときの達成感はひとしおです。これは実際に経験した人にしか感じることができない境地だと思います。「できる」「できない」ではなく、「やってみよう!」とチャレンジ精神を持って新たな1歩を踏み出す強さを大学生活の中で、ぜひ培っていっていただきたいです。

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投稿者: shinrigaku 投稿日: 2019/05/28 10:55


■専門・研究分野


専門分野は、社会心理学です。社会の中で、どんな形であっても、人は他者とかかわりをもって生きています。社会心理学は、そんな人の心理であれば、どんなことでも扱うことのできる分野だと思い、これまで取り組んできました。
最も長く研究しているテーマは、自尊感情の変動性に関する研究です。人が自分に対して行う評価(自尊感情)について学んだとき、その評価がいつも同じであるように記述されているものが多いことに、不思議だなと思ったことがきっかけです。日常生活の中で、自尊感情はいつも同じ評価ではなく、様々な出来事に伴って、時にはジェットコースターのように揺れ動いていると考え、その揺れ動きを測定する手法を開発したり、揺れ動く原因は何かという研究をしてきました。
ほかにも、ドクターヘリやドクターカーで病院前救急診療活動をする医師や看護師の心理に関する問題や、友だちと一緒に全身がおそろいのコーディネートを楽しむという双子コーデ現象の心理的要因など、様々な研究をしてきました。このように研究テーマは統一されていませんが、どの研究も人が他者とかかわることによって生じることです。また、「どうしてこんなことがおきるのだろう。不思議だな。」と思うことがいつも研究のスタートになっています。最近研究している双子コーデ現象は、街中で女の子2人が全く同じコーディネートをして歩いている光景をみて「不思議な流行だな」と思い、女子大学生に双子コーデをする理由について回答を集めてみたところから始まっています。
このように「不思議だな」と思うことが私の原動力になっています。また、そこからスタートした研究の知見を、社会に貢献するためにはどうするべきかと考えたりもしています。

■現在の道に進もうと決めたきっかけ

はじめて心理学に触れたのは、中学生の時に学内にスクールカウンセラーが入り、カウンセラーという仕事があることを知ったときだったと思います。その後、カウンセリングの勉強ができる大学に進学しました。ただ、勉強をはじめてみると、自分のイメージしていたものとは違っていて、自分には向いていないかもしれないと思うようになりました。同時期に、人のこころについて、ある仮説を検討するために、データを収集し平均値などの数値で示し、統計学の力を借りて、何らかの答えを導くという研究の体験をしました。今でも、統計ソフトで最後のクリックをしたときの感覚が忘れられないくらい、私には「これだ!」と思える体験でした。この研究をすることの面白さを体験させてくれた先生と、その後、研究することの意義を教えてくれた先生の2人の恩師のように、私も大学で教育・研究活動をしたいと思うようになりました。

■学生たちへのメッセージ

「心理学は人のこころを科学的に扱う学問である」というと、難しく感じてしまいますが、心理学が扱う現象は人のこころなので、ふだん、みなさんが経験するようなことが多く含まれています。心理学を学ぶ際に、自分の日常生活や、これまでの経験と照らし合わせながら、いろいろなことを吸収してもらえたらいいなと思います。
投稿者: shinrigaku 投稿日: 2019/05/16 11:08
今年度、心理学科1年生の担任である、矢口大雄助教のインタビュー記事を紹介します。

 

■専門・研究分野
臨床心理学を専門としています。臨床心理学は心理学の一分野であり、何らかの悩みや不安、困難さを抱えている本人やその周囲の方の状態を理解し、心理学的な知識や技法を用いて支援や援助を行うための学問であり、それらの問題の解決・軽減をめざすものです。近年では、特に問題を抱えていない方を対象に、心の健康の保持増進を目的とした研修や相談活動などの取り組みも行われています。 私はこれまでに教育機関(小学校から大学院まで)と医療機関(精神科病院)において、スクールカウンセラーや学生相談員、臨床心理士として相談業務に携わってきました。臨床心理学の中でも家族療法を中心とした支援を行っているため、個人だけでなく夫婦や家族を対象とした面接も担当しています。 現在の研究分野は、認知症高齢者のコミュニケーション支援をテーマに取り組んでいます。高齢期は、ライフサイクル(人生周期)の中でも個人差が大きい時期であり、さらに認知症の症状がみられると、他者とコミュニケーションを取ることが難しくなります。そのような中で、コミュニケーションを促進するための心理的支援策の開発を目指して、研究を行なっています。

■現在の道に進もうと決めたきっかけ
小・中学生の時に、友達のいじめや不登校の問題に直面したことが最初のきっかけです。その当時は、周りから相談を受けることが多く、立ち行かない状況に不安や葛藤を抱いていました。高校生になり、スクールカウンセラー・臨床心理士という職業を知り、大学・大学院で心理学を学びたいと思うようになりました。大学教員・研究者をめざしたきっかけは、大学・大学院時代の恩師から心理学の面白さや奥深さを学び、後進の育成に携わりたいという思いが強くなったことにあります。

■学生たちへのメッセージ
月並みですが、失敗することを恐れずに、あらゆることにチャレンジしてください。信念をもって行動した結果なら、反省することはあっても後悔は少ないはずです。皆さんが充実した日々を送られることを願っております。

矢口大雄助教のプロフィールはこちらから
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投稿者: shinrigaku 投稿日: 2018/06/13 11:25
■専門・研究分野
専門分野は臨床心理学です。特にフォーカシング指向カウンセリングを実践し、研究しています。フォーカシング指向カウンセリングは、カウンセリングの創始者とも言われているロジャーズのクライエント中心療法を発展させた技法です。傾聴、共感的理解に加えて、状況についてのフェルトセンス(からだ(こころ)で感じられる意味を含んだ感覚)を言い表すことを重視します。フェルトセンスを言い表すことができると緊張の緩和や新たな気づきが生まれます。フェルトセンスの言語化はカウンセリングの中だけで生じるものではなく、日常生活でも体験することができます。演習や実習の授業で、学生の皆さんにも体験してほしいと思っています。現在の研究テーマは、日常生活でのフォーカシング的態度やフェルトセンスの筆記が精神的健康に及ぼす効果の検討です。

■現在の道に進もうと思ったきっかけ
カウンセラーになろうと思ったのは、小学校3年生の時の経験からです。私は教室に水筒を持ってきていて、蓋にシールが貼ってありましたが、それがなぜか無くなってしまいました。班にいたずらっ子のA君がいたので、私はA君が隠したと思い込み、A君を責めてしまいました。ところが、シールは床に落ちていたことが後からわかりました。その時に担任の先生が「A君が泣いていたぞ」と教えてくれました。あのA君が泣いてしまったことに、私はショックを受けました。その時、クラスに3つの目標が設定されていて、各自、選ぶようになっていました。私が最初に選んだ目標が何であったかは忘れてしまいましたが、そのことがあった直後に目標を変えて「人の気持ちがわかる子」にしました。たぶん、それがきっかけだと思います。

■学生たちへのメッセージ
カウンセリングは人の気持ちを理解しようとする行為です。皆さんは自分の気持ちを正確に理解してもらえたとき、どんな気持ちになりますか? 感動したり、涙が出てきたり、気づかなかったことに気づけたり、意味がわかったり、楽になったり……。私はそんな体験をしてきました。カウンセリングは「自分の気持ちを理解するもの」でもあります。カウンセリングはプロのカウンセラーだけのものではありません。皆さんの大切な人とのコミュニケーションの中で、カウンセリングのプロセスが生じることもあります。その理論や技法について学ぶことはきっと日常生活にも活かせると思います。

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投稿者: shinrigaku 投稿日: 2018/02/14 10:35
昨年度の 授業コラム「心理学基礎演習」 (2年次・選択科目)にひき続き、今年度も「じぶん実験」をやってみました。 2年生のゼミ「心理学基礎演習」 心理学類の2年生を対象にした「心理学基礎演習」は、学類に所属する6人の教員それぞれの専門に応じて6種類、開設されていますが、私が担当しているのは学習心理学に関連した演習です。今年度も、履修生各自が 「身の回りの改善したい行動上の問題点」 に着目して、自分で自分に合った改善目標を立て、学習理論を応用した自分流の行動変容実験に取り組みました。まず、皆でテキストを読み、その中で紹介されている「じぶん実験」の例をよく調べました。紹介されているのはどれも自分でもできそうなものばかりで、チャレンジしたくなります。ベースとなるノウハウを仕込んだうえで、ゼミのメンバーがチャレンジした今回の例を紹介します。 (これらの例は学生本人の同意のもと、内田によって本人から怒られない程度に、しかし主旨を崩さない範囲で脚色されています)。 Lさん: 「何をやっても三日坊主で続かないんです。私は、やることを決めてそれをずっと続けられるように、じぶん実験に挑戦します。やることはスクワットです」 Mさん: 「いつも出かけるぎりぎりまでベッドから出られず、友達との待ち合わせや授業に遅刻したり、皆に迷惑かけっぱなしです。朝に余裕をもって支度できるためには、遅くても出かける50分前には起きていなければなりません。私は出かける50分前に起床することを目標にじぶん実験に挑戦します」 Nさん: 「私には、やり残した課題があります。そのことがいつも心の隅にあって、自分はダメ人間と思ってきました。どんな課題かと言うと、それは、受験勉強で買い込んだものの途中放棄してしまった問題集が何冊も積まれていることです。それを目にするのが辛いんです。かといって捨ててしまうのは勿体無いし、親に申し訳ないし。そこで私は、これら残された問題集を最後のページまでやり遂げることを目標として、じぶん実験で戦います」 Oさん: 「私はよく二度寝してしまいます。目覚ましが鳴ってもいつの間にか止めていて、目が覚めると大変です。それが癖になってしまっていて、約束をすっぽかしたり授業に間に合わなかったり。そういう性分なのでしょうがないのでしょうか。テキストにも事例があったので、じぶん実験で二度寝からの脱出をめざしたいと思います」 Pさん: 「私は毎朝200mlの牛乳を飲むことを習慣づけたいので、目標は毎朝200mlの牛乳を飲む! です」 Qさん: 「私は、つい甘い飲み物を摂り過ぎてしまうので、体脂肪の増加が気になっています。私はこの甘味飲料摂取行動を自分でコントロールできるようになりたいです」 それぞれの目標をもって、じぶん実験に挑みました。2カ月間、毎日、自分の行動を観察し記録をとり続けました。その結果は、以下のとおりです。(注:以下、改善策導入前を「ベースライン期」、改善策導入期を「介入期」と呼んでいます) Lさん: 「(目につくところに「スクワット」と書いた)貼り紙を貼るという介入を加えたところスクワットを続けることができました! 私は、長く続かないということを直すというよりも、立てた目標を忘れてしまう癖を直したことで目標を達成できたと思いました」 Mさん: 「ベースライン期では、ほとんどの日で50分前に起きられなかったが、介入期ではほとんど50分前に起きることができた。一番良かったのは、エアコンのタイマーをセットして、起きるときに部屋を暖めておくことだと分かった。これからも時間に余裕をもって起きていきたいと思う」 Nさん: 「介入期では3日間の例外を除いて、目標の(漢字の書き取り問題の)1日の書き取り回数150回を達成することができた。225回に増えた日も介入期間の半分くらいで見られたし、漢字の書き取り問題集を終わらせることができた。今までは面倒くさいなどの理由で諦めてしまっていた行動も、好子を与えたり環境を変えたり、ちょっと工夫するsssで、自分の行動も変化していくことがわかった」 Oさん: 「ベースライン期の15日間と介入期の15日間の中で、20分未満に起きられた回数は、ベースライン期は0回だったのが、介入期には6回に増えた。しかし、次の15日間その次の10日間では徐々に回数が減ってしまった。私には次の日に楽しみがあるということが一番の好子だということに気づけた。今までは、ただ眠いから二度寝してしまうと考えていたが、実験の結果から、一日一日のモチベーションの違いにあるのではないかと知ることができた」 Pさん: 「牛乳を自室に置いておくという介入①では回数が伸びなかった。介入②としてきな粉を混ぜて飲むことにした。さらに介入③では、牛乳を飲むメリットについて調べ、モチベーションの向上を目指した。結果として、介入①②③(特に③)によって目標が毎日達成されるようになった。私には面倒臭がりな所があるため、じぶん実験を行っても目的の達成が可能か懸念していたのだが、記録を紙に描いたり、見える所に貼り付けることでも意識は向上し、自分に合わせた介入を取り入れることによって、標的行動を増やしていくことは可能であると思った」 Qさん: 「ベースライン期ではほとんど変化が見られなかった。しかし、記録を見て圧倒的な甘い飲み物率に自分自身でも危機感を覚え、介入期では甘い飲み物を飲む回数が減っていった。そして、味はあるけど健康的な飲み物や、水やお茶を飲むことが増えた」 ここに紹介したのは成功例ですが、このようにクリアな変化を見出せなかった場合でも、それぞれが自分自身の行動を記録しながら客観的に自分を見つめ、その先の自己向上に手ごたえを感じることができたようでした。2カ月間、毎日、記録 ... 詳細...
投稿者: shinrigaku 投稿日: 2017/12/26 11:08
■「インスタ映え」を心理学で考える
「インスタ映え」が2017年のユーキャン新語・流行語大賞を受賞しました。この言葉は、SNSサービスの「Instagram(インスタグラム)」に公開した写真がひときわ映える、見栄えがよいということを意味しているといいます。「インスタ映え」を意識して、普段から写真を撮影している人もいらっしゃるのではないでしょうか。
この「インスタ映え」に注目して、授業で行った作業をとおして、心理学の考え方について紹介したいと思います。2年生の選択科目である「心理学基礎演習Ⅰ」の授業で、中学生、高校生、大学生などの若者で流行しているもの・盛り上がっているものをひとつ取りあげて、その理由や背景を分析するという作業を行いました。図①に示したように、自分の考えを整理する、グループで意見交換して参考資料を調べる、集めた情報を図表にまとめるという流れで授業は進んでいきます。

【図①】 

中学生、高校生、大学生などの若者で流行しているもの・盛り上がっているものとして、「インスタ映え」「インスタグラム」の他にも、フォトジェニック、ロールアイス、電球ソーダなどもあげられていました。写真映えを意味するフォトジェニックに加えて、ロールアイスや電球ソーダは「インスタ映え」するから流行しているという意見もあり、「インスタ映え」の影響力の大きさが感じられます。

■「インスタ映え」を図解する
「インスタ映え」や「インスタグラム」については、6名の学生が図表にまとめてくれました。それぞれの図表を参考に、図解したものが図②です。あくまで図解例のひとつですので、ご留意ください。

【図②】


図②
からは、「インスタ映え」の心理には複数の欲求が複合的に影響していることが指摘できます。自分を発信したい気持ちは自己表現の欲求、「いいね」をもらいたい気持ちは他者から評価されることを求める承認欲求、オシャレなものをまねしたい気持ちは有名人や芸能人などに重ねることもある理想の欲求とそれぞれ関係していそうです。同時に、「インスタ映え」の意識を促進するような環境があることにも注目できます。皆がやっているということは、自分を発信する相手や「いいね」をしてくれる相手、まねしたくなるような相手がたくさんいることになります。インスタグラムそのものの加工機能が充実していることに加えて、観光地などでも「インスタ映え」をターゲットにしたスポットが増加しています。「インスタ映え」が流行するとそのための環境も整備され、環境が整備されるとさらに流行するという、意識と環境の相互作用があることも理解できます。

■作業をとおした心理学の考え方
今回紹介した作業をとおして、図③のように心理学の考え方を整理しました。

【図③】
皆さんが普段から気になっていることや関心を抱いていることがテーマになるところが、心理学の面白さともいえます。人の心は目に見えにくいからこそ、世の中で広まっている話を「ほんとうにそうなのか?」と問い直し、具体的なデータをもとに理解を深めていきます。また、作業をとおして「インスタグラム」を使っていない人や「インスタ映え」を気にしすぎないようにしている人がいることもわかってきました。「インスタ映え」を例にとっても、その関わり方には幅や個性があります。心理学では、人間の心理に共通する傾向と同時に、一人ひとりの多様性を発見し大切にしていく学問でもあります。このように和洋女子大学では、相手の心に寄り添うことをめざして、具体的な作業や体験をとおして人間の心理を理解するための心理学の考え方や方法を学ぶことができます。

心理学類や心理学の学びに興味が湧いた方は、ぜひ学校見学にお越しください。私たち教員が皆さんの様々な疑問や質問に詳しくお答えします。

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投稿者: shinrigaku 投稿日: 2017/12/21 15:25

■試験勉強やレポートになかなか手をつけられない
みなさんは試験勉強やレポートをすぐに始めることができますか? 高校生で一般入試を考えている方は、ちょうど今は追い込みの時期でしょうか。大学生の皆さんは、もうそろそろ学期末の試験勉強やレポートの提出が始まる頃ですね。冬休みはお休みするとしても、今からこつこつとやっていけば、試験も余裕を持って受けることができますし、レポートも締め切りにも追われることなく出すことができるでしょう。ただ、なかなかそう簡単にはいきません。実は、この教員コラムは10月に書くことになっていました。自戒の意味もこめて、今この記事を書いています。

■大学生の先延ばし

するべきことにいつまでも手をつけずにいることを「先延ばし」といいます。大学では評価のために試験だけではなく、レポート課題が出されることが多くあります。高校生の方は、あまりレポート課題には馴染みがないかもしれません。海外でも大学生は多くの締め切りを抱えており、80~95%の大学生は先延ばしをすると言われています(Steel, P. 2007)。よって、すぐに手をつけられる人のほうが稀であって、たいていの人は締め切り直前になってから始めて、苦しい思いをするのです。ただ、皆と同じならいいかと安心して手をつけないでいると、おそらく1月下旬あたりに大変な思いをするでしょう。今のうちにできることには取り掛かるに越したことはありません。

■なぜ人は先延ばしをするのか
人が何かを先延ばししたくなるときは、その課題が自分の能力を超えていてできないと感じてしまうことや、課題をしないことで失敗して自信をなくすことを避けるためといわれています。その他、完璧にこなしたいという思いなども影響します。よって、先延ばしをしないためには自分ができる能力の範囲に課題を細分化すること、失敗を恐れないこと、完璧を求めないことなどが重要だと言われてきました。ちなみに、皆さんはどんな気分で試験勉強やレポートを先延ばしして、先延ばししている最中はどんな思いでいますか?多くの方は、本当は今すぐにでも手をつけないといけないと分かっているのに、できない自分を責めてしまって苦しい思いをしていることでしょう。下手をすると今すぐに消えてしまいたいと思っているかもしれません。

■先延ばしを克服するには自分を許すこと
先延ばしを克服するためには「自分を許すこと(Self-forgiveness)」が重要だと言われています。先延ばしをしている自分を責め続けることは大きなストレスとなります。そのことで、余計に行動を起こせないという悪循環が起きています。大学生134名を対象とした先延ばしに関する研究では、最初の試験での自分の先延ばしを許せていた人ほど、その次の試験勉強のときは先延ばしをしていませんでした (Wohl, Pychyl & Bennet, 2010)。
先延ばしは多くの人がしてしまいます。自分を責め続けながら先延ばしをしても、自分を責めないで先延ばしをしても、先延ばしをしていることには変わりありません。どうせ、先延ばしをするなら自分を責めずに楽しいほうが良いでしょう。自分を責めることで余計に自信をなくして、課題に取り掛かりづらくしているのです。先延ばしのメカニズムが分かったところで、気分を切り替えて、15分だけと決めて勉強に取り掛かってみませんか? 大変だと思っていたけれど、意外と始めてみたら気分も乗ってきて、あっという間に終わってしまったという経験は、皆さんにもあるでしょう。来年の2月頃には、受験勉強や試験勉強もレポートも終わって、晴れ晴れとした気持ちで遊べるかもしれませんよ。
 

<参考文献>
Steel, P. (2007). The nature of procrastination: A meta-analytic and theoretical review of quintessential self-regulatory failure. Psychological Bulletin, 133, 65–94.
Wohl, M., Pychyl, T., & Bennett, S. (2010). I forgive myself, now I can study: How self-forgiveness for procrastinating can reduce future procrastination. Personality and Individual Differences, 48, 803–808.

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投稿者: shinrigaku 投稿日: 2017/11/24 13:40


みなさんは「花占い」を知っていますか。「好き、嫌い、好き、嫌い……」と交互に口ずさみながら、花びらを一枚ずつちぎっていき、最後の一枚が「好き」なら、意中の相手から好かれている、逆に「嫌い」なら嫌われているという占いです。
愛というのは、一方的に自分だけでは決められません。そしてまた、愛すればこそ、相手の想いを尊重するものです。相手が自分を好いてくれるなら幸せです。しかし相手が自分を嫌うならば、それはせつないけれども、受け入れるしかありません。「花占い」はずいぶん消極的ですが、それでも愛の側にあると言えます。しかし、幼い子どもたち、心の弱い人たち、そして性格に歪みのある人たちは、この意味での「花占い」ができないことがあります。「好き、好き、好き……(あるいは嫌い、嫌い、嫌い……)」に取り憑かれ、気持ちを収めることができないことがあるのです。相手の思いが相手に属しており、相手に委ねられているという現実に伴う無力感を受け入れにくいのです。そこであふれ出た自己中心的な怒りから、自分の非を棚上げし、思い通りにならない相手を責めるということが起こります。幼い子どもなら養育者を、心の弱い人なら救済や恋愛を期待した相手を、性格の歪んだ人なら他人の弱みを責めがちです。例えば、駄々をこねる子ども、ストーカーをする元交際相手、弱い者いじめをする人を挙げることができるでしょう。こじらせ具合や自覚のレベルは違うものの、その根本にはこうした「花占いの欠落」を読み取ることができます。ただし、みなさんの中にも、わがままな気持ちや、束縛したい気持ち、困らせたい気持ちなどが行き来することがあるでしょう。多かれ少なかれ誰もが「花占い」のルール変更を行って、好き放題、嫌い放題にしたい気持ちがあるのです。

すぐれた養育者や指導者、良心的な友人や仲間は、相手を間違えた未熟な攻撃に対して、腹立ちを抑えつつ、相手の成長を促せるような展望を組み立てて応じます。展望には目に見えない未来や可能性への洞察が含まれています。悪意があるなら見抜いて拒みます。それは知恵であり、勇気であり、思いやりでしょう。愛するとはそういうことです。もっともその基本となる立場は、「花占い」に似て、相手が成長するのかしないのかどちらかを決めつけずにいるものです。いかに優れた養育者や指導者であっても、学ばない相手に学ばせることはできません。いかに工夫された環境や内容であっても学び、成長するのは本人に委ねられているのです。時には、始まりが愛情であったのに、抑えた腹立ちが憎しみに転じたり、思い通りにならない相手を責めるということが起こります。憎悪や悪意が芽生えるかもしれません。例えば一見不可解な事件を理解する場合には、愛情が恨みに転じる過程を知るだけでずいぶん了解可能になってくることがあります。
事件でなくとも、みなさんも親しい周囲の人との気持ちのすれちがいを感じたことはありませんか。例えば保護者の方の「愛情」を「おせっかい、ありがた迷惑」と感じたり、友人への「気づかい」が相手にとって「邪魔」になっているのではと不安になったりというようなことです。人間の心理や感情の機微を理解しようとし、明るく適切な範囲に保とうとするところには、愛と学びが関係してきていると言ってよいでしょう。

心理学を学ぶことも、愛と学びに似ています。第一に「花占い」のように公平な立場を採ることが大切です。自分の思いを相手に押し付けることはできません。とはいえ、私たちは願望や期待、恐れや不安から、不公平な立場を採りがちです。心理学を学ぶことで、公平で適切な理解を妨げているいくつかの原因を知ることができます。
心理学を学ぶにあたって二番目に大切なことは、相手を知るためのアプローチ方法を複数手に入れることです。相手に直接聞くのは良い方法ですが、嘘つきに対して「あなたは嘘つきですか」と尋ねるのは得策ではありません。周りの人の意見を聞くことも良い方法ですが、同じ人に対して「いい人」、「嫌な奴」と、互いに矛盾する評価があることもあるでしょう。性別や年齢など一般論を参考にするという方法も有益ですが、人はそれぞれ個性的な存在です。さらには相手の表情やしぐさを読み取ったり、医学・生物学的な情報を参考にすることも有益でしょう。このように、心理学を学ぶということは、一種類の正解を鵜呑みにするということとは異なり、様々な種類のアプローチ方法を手に入れ、思い込みや決めつけを避けながら、人のあり方、人との関わり方を探っていくことなのだと考えています。

最後に宣伝します。和洋女子大学 人文学群 心理学類では、具体的に「できる」「わかる」ということを大切にし、理解しやすい入門から実践的に役に立つ応用へと、丁寧に順番を追った教育を展開しています。また女子大学ならではの女性の生涯発達や興味関心に配慮した科目を重視して開講しています。「あなたの学びたい気持ちに応えたい」と教員一同、願っています。

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