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日本文学文化学科

07 20

投稿者: nihonbungaku
2017/07/20 11:42

前回の授業で、ピンホールカメラを始めとする各種光学機器の構造や性質を学んだ学生達。6月21日の授業では、スペインの画家ディエゴ・ベラスケスによる絵画作品《ラス・メニーナス》の空間を「活人画」によって再現する試みが行われました。


【写真左】完成した《ラス・メニーナス》活人画(撮影・フォトレタッチ:大髙隆)
【右画像】ディエゴ・ベラスケスの《ラス・メニーナス》

ディエゴ・ベラスケスは、17世紀のスペインを代表する画家。国王フェリペ4世の肖像画を描いたことをきっかけに国王付きの画家として宮廷入りし、以後 宮廷画家として活躍。王族をはじめとする人々の肖像画等、数々の絵を残しました。この授業で扱う《ラス・メニーナス(Las Meninas:女官たち)》は1656年の作品で、フェリペ国王夫妻の王女マルガリータを中心に、女官やその他の王族に近しい人物達が描かれています。



《ラス・メニーナス》の絵には、ベラスケス本人が描かれています。絵の中心には王女マルガリータが描かれているものの、キャンバスに向かうベラスケスの視線の先は手前(絵を鑑賞する人側)へと注がれていることや、奥の壁に掛けられた鏡には国王夫妻の像が映っていること、手前の巨大なキャンバスが裏返しで、何が描かれているのか見えないことなど、よく見ると不思議な構成をしています。この日の授業では、このベラスケスの《ラス・メニーナス》の絵を実際に自分たちで再現することで、その構成についてより深く考察します。

【写真左】まずは配置準備から。撮影にはこの広い部屋を使用し、手前にカメラを設置。
【写真右】部屋の奥には、絵画の奥にある鏡と、ホセ・ニエトが佇む出入口と階段を再現。

カメラマンは、前回のカメラ・オブスクラの授業で講師を務めた大髙氏。絵画では、暗く広い部屋の手前の中心人物達に光が当たっています。光と陰も再現するため、照明の位置も吟味してセッティングしています。

【写真左】この日の撮影を担当した大髙氏。

学生達は、それぞれの配役に合わせて衣装や小道具を準備。ニコラ役は赤い色の服、養育係の役は修道女をイメージした被りものなど、身近で手に入るものを活かしつつ、絵画の世界にできるだけ近付けて行きます。ベラスケスが向かう大きなキャンバスも、イーゼルと100号サイズのキャンバスを使用して再現し、部屋の手前のカメラに近い場所に配置。鏡に映り込む国王と王妃の像は、国王役の一人の学生が、マネキンの頭部を並べて抱え持つことで表します。

【写真左】レースを肩にとめてもらう女官イサベル役。学生同士が、お互いの衣装の最終仕上げを行いました。
【写真右】養育係マリアの衣装の調整を行う指導教員の小澤准教授。自身もマリバルボラ役を務めます。

【写真左】手前に写るのは国王役の学生。マネキンを持って、奥の壁の鏡にうまく映る位置を模索中。

いよいよ撮影がスタート。部屋の奥でホセ・ニエト役の学生が脚立に足を掛け、手前の女官、道化師、目付役等の学生達がそれぞれの配置に付きました。王女の不自然な首の向きや得意げな表情、養育係の伏せた視線など、細かな点も注意しつつ再現。王女や女官、道化師は子供や小柄な人物なので、役を担当する学生は中腰になるなど工夫しながら、大髙氏の指示の下、撮影に取り組みました。実際に再現してみると、鏡にベラスケスがどうしても映り込んでしまったり、消失点の位置にいるホセ・ニエトが絵画よりだいぶ小さく見えるなど実演することで改めて気付いたことがたくさんありました。学生達は今回の実演を通して分かったことについてディスカッションを行い、今後 考察をまとめる予定です。


【写真】実演した学生と教職員。前列左側より、女官マリア、王女マルガリータ、女官イサベル、宮廷道化師マリバルボラ。後列左側より、画家ベラスケス、王妃侍従ホセ・ニエト、宮廷道化師ニコラ、国王フェリペ4世(と王妃)、養育係マリア、目付役の男性、そして犬のモーセという配役。

(写真掲載にあたり、参加した学生・スタッフ全員および大髙隆氏の同意を得ています。)


【小澤先生からのコメント】
私たちは普段の生活で、たえず何かを見ているし、意識せずともたくさんのものが目に飛び込んできます。しかし、この一見すると当たり前で普遍的に思われる「ものを見ること」、さらに「見えたものを再現して表現すること」は、実はそれぞれの時代や社会、文化によって、さまざまに変容しているのです。この演習では、実際に手や身体を動かし、ときには皆で作品を創りながら、私たちの「見ること」を取り巻いているさまざまな条件を考え直す、という作業を行なっています。現在ではおびただしい量の「イメージ」を、少しむずかしい言葉を使うと「表象」(実物そのものではない、その代理物としての像)や「シミュラークル」(オリジナルを欠いたまま増殖する鏡像のようなもの)を、インターネットや印刷物などで目にすることが可能です。そういう時代であるからこそ、「今ここにある私の身体」や「一定の大きさを備え、いろいろな物理的制約のともなう現実の空間」、「手触りや音も含めた知覚」の経験を、意識的に重視しています。


【学び紹介】「見ること」と「見えるもの」を体験と創作から考える「現代思想演習」―ピンホールカメラ実習【1】

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